
大家さんをやっていたら不動産屋さんになった - 物件ファンは、大家さんファン。
物件ファンは、不動産屋さんファンです。
今回は、香川県高松市の不動産屋さん。 古い物件を買い取って、素敵な住宅や店舗へとリノベーションしている、ひだまり不動産の内海芳美さんとお話ししてきました。
ずーっとお金貯めてた
高校生ぐらいの時からいつか何かしてやろうと思って、ずーっとお金貯めてたんですよ。結婚するときに親にも多少助けてもらったけど、私の貯金で、一戸建ての家を買って。
やってみたら、何もしなくて年100万円ぐらい入る。「あれ?これ3つ持ったら私、ちっちゃな子ども2人連れて夫婦で働いて、こんな思いしなくても済むじゃない」と思って、それが目標になったんです。
こんな事やってたらバチが当たるんじゃない?
次は1棟買ったんですよ。共働きしながら4000万円ぐらいの。
その時は怖くて、 2人でウォーキングしながら「こんな事やってたらバチが当たるんじゃない?」みたいな。なぜそういう言葉が出るのかというと、そのリスクが分かってなかったから。
でも、家賃収入が月収を超えてしまったんですね。そのことが本になったんです。
私は、ずっと車の修理工場の事務員だったんですよ。3人働いてる人がいたみたいな感じですね、家賃収入と私たち夫婦とで。
他人に左右されない人生に
14年ぐらい前に、主人が勤めていた通販会社で、すごい人数が東京に行ったんですね。でも、1年後に別の会社の傘下になって帰って来いってことになったんです。
私たち家族も行くつもりだったのに、なんか違うよねって。他人の意向によって人生が左右されるって違うよねって、辞めるって言いだして。
退職割り増し金も出るという話だったので「じゃあ何かやる?」みたいなことになって。私たちに何ができるって言ったら「大家さんやってきたから、不動産?」みたいなことになった。それが始まりです。
大家さんから不動産屋さんになる
夫に「帰ってくる前にすぐ宅建取って」って言って。一発で取れて、開業しました。
それまでも物件をけっこう買ってたので分かってたけど、古い体質の業界で。若い人たちが入ってきてだいぶ変わってきましたけど、これは無理だわ、と思って。
買取再販と、賃貸収入と、それと工事だけ受けるっていう、そういう3つの柱で経営しているんです。
ひだまりアパートメント
もともと、古いアパートにおばあちゃんが3人住んでて。隣がメインのマンションで、ここはおまけでついてきたパターンです。
住んでた方々が年をとって部屋が空いた時に、築40何年のこの物件で、家賃どんなに取れても3万5千円なんですよ。このエリアのこの場所で、この古さで言ったら。
かと言ってきれいに直しても採算が取れないんですね。どんなに安く直したとしても1室150万円ぐらいはかかる。普通の賃貸住宅にして入るかって言ったら、なんかちょっと違うなー、って。
アパートに店舗を入れる
「あ、ここにしたらいいんじゃないかなー」と思って、デザイナーにまず見てもらったら「うっちゃん、ここおもしろい」って言われて。そのご夫婦に言ったら「いいよね」っていう話になった。
リノベーション+コミュニティ
ここ、リノベーション+コミュニティみたいな走りですよね。わりと新規事業の方が多いので、みんなで少しずつ助け合って。
自分でやってみたくなった
ひとつ店ができるごとに、ノウハウがすごい詰まってるんです。そんな中で、自分で店をやってみたくなったんだと思うんですよ。
ある時、東京の町屋でイベントをしてる横で、若い男の子が屋台のかき氷を出してたんですね。私、甘い物嫌いなんですけど、食べたら、むちゃむちゃ美味しかったんですよ。
「これは高松にはない、一軒もない、これやると絶対儲かる」と思ったんです(笑)。
予算に限りがある中で、どこにお金をかけるのか。ブランディングがいちばん大事って身をもって分かってるし、自分で極めてやってみたかった。夏、毎年1万人以上来るんですよ、この変な場所に。
デザインの魔法
すごい高い物件は買えないじゃないですか。安いのから見てた。最初の頃は、それを「予算300万円ぐらいで直したいんだけど」みたいな感じでデザイナーに言ってたんですよ。
そう、魔法、本当ですよ、うん。おしゃれやからやってるとか、スタイルを追ってとかじゃなくて、価値をすごい変えちゃう。私は、その頃はほとんど分かってなかったです。
コラボレーションできる形を取る
入ってくれた店が流行ることによって、うちの宣伝もしてくれてるんです。
古い物件を持つリスク
コミュニケーションを取るという意味でもね、古い物件なんで、いろいろあるんですよ、やっぱり。台風の時に漏れてきたとかね。
普通は許されないようなことが、許してもらえるだけではダメなんだけど、そういうこともなんとかギリギリいけてるんで。やっぱり古い物件を持つっていうのは、ものすごいリスクがありますよ。
ゴースト団地を分譲リノベ
これ、不動産屋にしかできない好きな事例。屋島のふもとの団地、普通に賃貸アパートだったんです。
忘れた半年後ぐらいに「いくらになりました!」「えー?!」って。
利回りはそこそこにあっても15室満室にできるかと言ったらその自信がなくて。でも、過去に誰かが、賃貸アパートでも区分登記し直したら売れるんだよ、みたいなことを言ってたなぁと。
そっから調べ尽くして、事例が出てきたんですよ。「じゃあ私だってやれるわ」と思って、区分登記し直して、プランの状態で売り始めたんですよ。
1戸ずつデザイナーが入ってプランしてるので全室違うんですよ。うちでデザインさせてもらって、工事も全部。これもけっこう大変でしたけど、楽しくて。
さらに大きくなり
だんだんと、案件が大きくなってきて。
内海芳美(うちみ よしみ) 香川県生まれ。 株式会社ひだまり不動産取締役兼大家さん。大家さん歴23年、リノベ専門不動産屋歴12年。
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