大家さんは、DJでカレー屋さん。- 物件ファンは、大家さんファン。
物件ファンは、大家さんファン。
忘れがちですが、世の中には、物件の数だけ大家さんがいます。たのしい物件には、たのしい大家さんがいるはずです。
大家さんと会ったことある方も、そうでない方も。不動産好きだったら、物件だけじゃなく大家さんも愛でましょう。
今回は、貴志ビルヂング オーナーの、 きしこういちさん&まほさん。
和歌山大学のふもとにある、和大生専用賃貸マンション「コミュニティプラザ貴志」と、そのお向かいにある賃貸マンション「リゾートハウス貴志」の大家さんです。
お2人はこのマンションの1階でカレー屋さんを営みつつ、4才の息子さんと2階に住んでいます。
こういちさんは、若き日に東京で欧風カレーの修業をし、DJでもあり、ご実家のマンションを継いだ、と。
まほさんは、デザイナーでもあります。
半分以上空き家。
いちばん最初はこういちくんのおじいちゃんが建てたマンションやった。
ちょうど和歌山大学がこっち移ってきたんですよ。それで近隣の農家の人が学生さん向けの、一気に90年代前半ぐらいかなぁ、建て始めて。うちとかわりと早かった方なんかな。
92年やね、ここが。私らが2階にきたのが5年ぐらい前。
マンションがそんなにお客さん入らなくなってきたんですよ。いろんなところに新しいマンションできて、学生の数も減って。駅ができて通いの子もぼちぼち出てきて、どんどん設備も古くなってきて、これはやばいって。
半分以上空いてたよね。
そう。で、まほの方が『こういうことせえへん?』みたいな感じで、そっから始めた感じですね。
どうせやるなら、おもしろい方がいい。
それまでは本当に業者さん任せで。
別の仕事でバタバタしてる中で『あの人引っ越しますよ』とか『部屋のエアコン壊れたって言われたんですけど』とか連絡がきて『うーん』みたいな(笑)。興味もなかったし。
でも2階に住んで子どもも生まれてっていう時に、これじゃいかんと。なんかできることやろうかって。
空いてるんやけど、どうしたらいいんやろっていう相談してたら何人かに、それは業者さんにお金を払ったらいいんやって言われたんですよ。それがたぶん賢い確実な方法なんですけど、なんか全然おもしろくないから。
どうせやるならねぇ、おもしろい方がいいから、カレーのチケットとりあえず入れてみようとか。そういうことを始めてからはやっぱり変わりましたね、距離が。学生さんとの距離が全然違ってきて。
はじめは名前とかも全然分かんなくって。でも店にきてくれたり、2階で朝会うようになったり、名前覚えて…ってなってくると、近くなるんで。学生の子も困った時に言いにきてくれるようになるし。
うん、近づきました。それで楽しいなって思えるようになった。
マナーも良くなった気がするんですよ。それってお互いさまなんですけど、がっかりさせたらあかんなって。たぶんバレるとやばい、怒られるというよりは、人間的な…失望させたくないっていうような、感じがあるのかなぁ。
いい感じの距離感。
マンションの住民には、無料で毎月1回カレーを食べられるチケットが付いてきます。
取材中に遊びに来てくれた和大生のミヒャエルくん。
あまりない、ですねぇ。まぁそのシェアハウスみたいな感じではないですよね。
入居者を対象ってわけじゃなくて、下(カレー屋さん)で音楽のイベントとかをやってるんで。交流したい人にとっては設けられてるんかなっていう印象はありますね。
そうですね、そういう案も出てたんですよ。毎食まかないを付けたらいいんじゃないかとか、入居者同士がもっと仲良くなれるようにバーベキューしたらいいんじゃないかっていうのもあったんですけど、なんかそんなに必要でもないんかなっていう(笑)。
僕はすごく満足してます。
なんかゆるい感じで。
僕の大家さん、DJなんや。
カレー食べにきて、最近どう?みたいな(笑)。バイト先の話だとか、あと恥ずかしいですけど恋愛の話とか。
けっこう別の世界っていうか、学生のコミュニティとローカルの。
そこをつなげてくださってるのはありがたいんかなって思いますねぇ。カレー食べながらだったらそんなに緊張感も出ないですし。
こういちくんDJをやってるんですよ。イベントとかちょこちょこやってるんですけど、住んでる女の子でダンスサークルに入ってる子がいて、イベントに行ったらこういちさんがDJ(笑)。家主、クラブで会わないじゃないですか。
僕もありますよ。カレー屋さんに一緒に連れてく友達に、あそこのホールのところでDJやってた、みたいに言われて。僕の大家さんDJなんや、すごい!と思って。
たまにそういう他のお店とかマンションのつながりで、学生のコミュニティと、私たちが暮らしてるところとが接触する部分があって、そういうの楽しいですねぇ、お互いに。こういちくんはなんか店に来た子にすごい相談される。住んでる子も、住んでない子も、学生の子も。
いやーもう話聞いて、その人に合うような…。
そういう大人の人がいるっていう環境が、他のとこだった当たり前にないんかなと思って。ここだからこその温かさなのかなと。
適当にほっておいてくれる。
取材中、お向かいのマンション「リゾートハウス貴志」に住んでいる冬馬くんも遊びに来てくれました。
なんか貸したんやったっけ? そのお礼に『僕ギターを弾くんで、弾きます』って言って、店の終わった後にギターを弾いてくれた(笑)。
最初だからちょっと話しただけで、音楽好きなんやー、へぇそうなんやーってなって、趣味がかぶりすぎてて怖いってなって(笑)。
適当にほっといてくれるし。 時々遊んでくれるし。
カレーと大家さん、ついてきます。
なかなかその、はじめに伝わらなくって。部屋探す人って、カレーが食べれて大家さん住んでるっていう条件で探す人いない(笑)。なんか『築年数が』とか『ユニットバスは』とか、そういう感じで探してくるから。
仲介業者さんもそこはあまり重視しない。大家さんこんな人で、とかいう感じじゃきっとないですよ。
でも、うちたぶん、そういうところがいいんじゃないかなぁって、他のところと違うのは。まあ、アクセントクロスも大事やけど。そういうところじゃないとこが、うん。
ねぇ。必要ともしてないかもしれないですけどねぇ。
寄りすぎず、はなれすぎず。 でも、おもしろい方へ。
きしこういちさん&まほさんと貴志ビルヂング、ますますファンになりました。
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