建築家・坂倉準三氏の代表作である、 東京日仏学院 （現：アンスティチュ・フランセ 東京） の見学会が開催されます。

神奈川県立近代美術館(現：鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム)や、 新宿駅西口広場などを設計した 日本を代表する建築家の作品を 体感できる非常に貴重な機会です！

見学会の詳細は記事末尾でご案内しています💁‍♀️

フランス・パリで建築を学び 世界的な建築家、ル・コルビュジエに 師事したのち、デビュー作である パリ国際博覧会日本館で グランプリを獲得。 終戦後の1951年、本格始動となった 作品がこちらの「東京日仏学院」と いうのは、なにか運命めいたものを 感じてしまいます。

柱を壁面より内側に配置することで まっすぐに通ったスラブの 水平ラインを強調しています。 縦長のサッシが連なる様子も、 コルビュジエによって提唱された 近代建築の５原則の一つ、 「水平連続窓」を意識したものかも しれませんね。

特徴的なのがキノコのような ちょっと変わった柱のデザイン。 梁のない「フラットスラブ」という 構造を補強するためのものなのですが、 その形状がそのまま意匠にも 活かされています。

廊下にも突如として現れる キノコ型の柱。 あえて廊下の真ん中に柱を 持ってくることで、構造を意識的に 強調しているようにも感じます。

教室の一角にもキノコ型の柱が。 この建築の象徴として 数々の学生さんたちを 見守ってきたのでしょうね。

1961年に増築された低層の部分。 大きな窓から望む緑が 清々しい空間です。 こちらは梁が出てきているので、 メイン部分とは構造が異なるのが よくわかりますね。

2000年には「みかんぐみ」さんによる 改修がなされ、現代的で華やかな印象に お色直しされています。 2023年には敷地内に藤本壮介氏設計の 新校舎の建築が行われるなど、 大切に保全・活用され続けています。

そしてこちらが「坂倉の塔」と 呼ばれる階段棟。 ２つの階段が上下に重なった 二重らせんの構造になっており、 設計当初はそれぞれ住居用と サービス用の階段として 使われていたようです。

メインの階段は天窓から降り注ぐ光が 心地よい空間。 単なる上下階をつなぐ動線ではなく、 階段が一つの見せ場となっています。

サービス用の階段はひっそりとした 隠し通路のような雰囲気。

メインの階段ではないので 装飾もほとんどありませんが、 その分より階段自体の造形の美しさを 感じられる空間となっています。

二重らせん階段の内部や館長室などは 普段は公開されていないため、 今回の見学会はめったにないチャンス。 坂倉建築に興味のある方はぜひ ご参加いただきたいです。

コルビュジエのDNAを受け継いだ 坂倉氏の作品が、様々な人の手によって さらに後年へと受け継がれていく。 名作と呼ばれる建築が老朽化などの 影響で解体されていくことも多い昨今、 このように古く良いものを 手を加えながら永く遺していく活動が より広がっていくとうれしいですね。

東京日仏学院見学会 （詳細欄の緑のボタンより事前に必ず予約してください）

【日時】 2024年9月17日（火） 16:30-18:20｜16:40-18:30

【定員】 各15名（合計30名）

【参加費】 無料

【開催場所】 東京都新宿区市谷船河原町15

【アクセス】 JR飯田橋駅 西口 徒歩7分、地下鉄 飯田橋駅 B3出口 徒歩7分

※「ご予約完了」は、運営からの返信をもって完了とさせていただきます。 ※1951年竣工の建物につき、エレベーターがございません。 ※新校舎のご案内はございません

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文・佐藤シュン 浜松で設計事務所をやりながら、黒猫と暮らしています。