かの有名な建築家である 安藤忠雄氏が設計した 旧南林邸と呼ばれるこちらの住宅。

賃貸でも売買でもなく、 なんと泊まることができるんです！

3階建ての建物の中で 唯一賃貸募集をしていない 中層階（2階）のお部屋が貸別荘として 展開されることになったのだとか。

なんとも夢のあるこのプロジェクトは その名も”泊まれる名建築”。 「日本の建築遺産を未来に遺していきたい」 「建築の保全活動の活発化に貢献したい」 という思いからスタートしたそう。

会員限定のシェアリングサービスで、 年会費2万円＋消費税を支払えば 1年につき1泊まで無料にて 宿泊することが可能とのこと。 （1名帯同可能プランの年会費は3万円＋消費税）

別途料金にて連泊や 別日程の追加もできるそうですよ。

場所は奈良県生駒市。 旧南林邸は当時の施主夫婦と その家族あわせて3世帯のために 建てられた共同住宅で、 3フロアそれぞれ 住宅機能は独立していますが

アプローチは共有スペースとなっており、 中庭は地階にお住まいの方向けの 占有スペースとなっています。

敷地に足を踏み入れると そこは無機質で整然とした コンクリートの世界。 正面の階段を上って左に曲がり

手前左側にちらりと写っているドアから 2階のお部屋へ。

室内は壁だけではなく天井も 打ちっぱなしのコンクリート。

大胆にも照明器具を省くことで 窓から差し込む光の美しさと 室内の素材たちの表情が より際立っているように感じます。

ダイニングスペースの外には 緑がわさわさと生い茂っていて 視界に入るたびに安らぎを もたらしてくれそうです。

お部屋にはキリッとカッコいい キッチンがあるので 食材を買ってきて調理しても。

タイル張りのコンパクトな サニタリースペースには

トイレと洗面台、シャワーが まとまっています。

ラップトップを持ち込んで ワーケーションするも良し、 最低限の荷物だけでふらりと訪れ 静かに読書などに勤しむも良し。

実際に1日過ごしてみることで 建築の本当の魅力を余すところなく 味わうことができるのでしょうね。

1984年竣工とは思えないほどに 美しく整えられた旧南林邸ですが この建物を修繕するのは それはそれは大変だったそうで…

修繕主の方が初めて訪れた時は 蓄積した汚れで外観は黒ずみ、

このように、室内の各所も 劣化が進んでいたといいます。

そこで、安藤忠雄建築研究所や インテリアデザイナー・高橋真之氏、 住宅遺産トラストの協力のもと

職人の方々の手によって 10ヶ月もの時間をかけて 修繕作業が行われたそうです。

新たな歴史を刻もうとしている この建築が今後も長きにわたり活躍し 人々に愛され続けますように…。 そう願わずにはいられません。

見学会も開催されるそうですよ。 現在、約20組の方がシェア会員に登録しているのだとか！

見学会では、建物の修繕や保全活動などについても 話を聞くことができるみたいですよ。

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文・山中みく 香川県在住のイラストレーター。海と山の近くに住んでいます。古着と映画と旅が好き。 ＠miku_yamanaka