築40年・駅遠でも理想の入居者が見つかった理由
東京都調布市でDIYを用いて家をリノベーションする鈴木さんにインタビュー

大家の鈴木柄美さんは、古い戸建やマンションの味を残しDIYも行って再生するのが得意。以前、物件ファンに掲載した「トウフハウス」も、鈴木さんのアイデアやセンスの光るレトロでかわいい戸建てでした。
しかし、トウフハウスは東京都内とはいえ調布市の仙川駅から徒歩14分、駐車場無、築40年以上、家賃もエリアの相場よりは高め……一般的には「有利」とはいえない条件でした。それでも鈴木さんは「物件ファンのおかげで理想的な入居者さんに出会えた」と語ります。
そんな鈴木さんに、愛のある大家さんとして物件と向き合う方法、そして魅力的な入居者さんに出会う秘訣を伺いました。
—— 鈴木さんはDIYをする大家さんとして、不動産系のメディアにも出られていますよね。また、鈴木さんが所有する物件はどれも賃貸だけどDIY可能な物件です。「DIYを取り入れるスタイル」に至った理由はあるのでしょうか。
鈴木さん: DIYは夫婦でやっているんですが、以前は2人ともリフォーム会社勤めで現場の細かい作業を社員総出でやっていたのと、自宅もちょこちょこDIYしていました。
もっとルーツを辿れば、私の祖父が大家さん業をやっていて、そのアパートも古くなってきて改装可能だったんです。廊下を通ると開いた玄関ドアから思い思いに改装された素敵な室内が見えて。子供の頃からインテリアや建物が好きだったので、とワクワクした覚えがあります。だから自然と「DIYっていいよね」と思えるというか、暮らしを豊かにする手段として当たり前のような感覚がありますね。
—— なるほど。トウフハウスはリビングの床なんかもDIYで張り替えられていますよね。別の媒体で、「一見、築古の戸建てに昔からあったように見える床だけど、実は新品のフローリングを入れている」というのを読んでびっくりした覚えがあります。
鈴木さん: 傷がついたときのメンテナンスのしやすさから最近は新築もリノベも「フローリング」と表示があっても、実際は木目のリアルなフロアタイルが多いですよね。素材の利点は理解していますが、私にはどうしても「木目柄のフェイク」なんです。トウフハウスのような築古の部分リノベには、高いものでなくてもいいからやっぱり木製が合うと思います。特に市松フローリングは昭和レトロ感があって「一周まわった可愛らしさ」があるので、苦労して探しました。
そして「このお部屋なら傷がついていても味があって良い!」と思ってくださる方をターゲットにしたいので、そのためにも素材やテイストは徹底的にこだわりプランを練っています。間取り図も雰囲気が出るよう手描きしました。リフォーム会社時代が役に立っています。
「いい家があれば住みたい」という方と、不動産サイトではなくSNSで出会った
—— 入居者さんの募集は、いつもどのようにされていますか?
鈴木さん: 15年以上付き合いのあるセレクト系の不動産屋さんにお願いしていますが、それ以外にも面白がってくれそうな不動産屋さんやメディア、今回はYouTubeチャンネルなんかにも声をかけてみました。
そのうちのひとつとして、物件ファンにも声を掛けました。ふつう不動産屋さんって大家さんの希望やアピールを書くと思うんですが、物件ファンは大家としての希望とは違うところでの独特の視線や切り口で言葉が書いてあるのが面白いし、公開されるまで原則シークレットなので楽しいです!
—— たくさんの不動産屋やメディアに幅広くお願いしているんですね。今回の入居者さんは、どのメディアを見て知ってくださったんでしょうか?
鈴木さん: 今回入居してくださる方は「不動産サイト内で検索して見つけた」というわけではなくて、Twitterでたまたま、でした。
都心の人気エリアにお住まいで「自分達にもっと合う良い家があれば引っ越したいな」というくらいの温度感の方だったんですが、物件ファンのアカウントからのツイートが流れてきたのを見て、これだ!と思い、もう他の物件は内見されなかったそうです。とても理想的な方と出会えました。
—— ええ、Twitterなんですね! 確かに鈴木さんの物件、ものすごく拡散されていましたよね。そんなふうにSNSで偶然出会った入居者さんですが、どのような点が「理想的」だったのでしょうか。
鈴木さん: 私は車も好きでSUZUKIの平成初期型ジムニーに乗っているんですが、入居者さんも同じものに乗っていたんです!(笑)20代なのに珍しいですよね?
さらに、後にお話ししていて、音楽という共通の趣味もあるとわかりました。
それってセンスや感性がかなり似ているということですよね。だからこそ、私がいいと思う内装で作ったこの家そのものを本当に好きになってくれて、長く住んでくれるのではないかなと期待できます。
あと大家業もビジネスですから、家賃の値下交渉をされず申し込みが入るって単純に嬉しいんですよね。なのでこちらから千円単位はお値引させて頂き、それがまた入居者さんを驚かせ感謝される、するとこちらもまた色々やってあげたくなる、ハッピーのスパイラルです(笑)
実はトウフハウスも先日、入居者さんと現地で打ち合わせし、年明けに外構工事でバイクを敷地内に入れやすくします。流石にプロの職人さんに依頼しますけどね。
入居者さんと楽しむ、大家さんの道
—— 鈴木さんが所有する物件はすべてDIY可能だそうですが、実際に入居者さんは楽しまれていますか?
鈴木さん: レベル差はありますけれども、私たち夫婦を凌ぐほど素晴らしいDIYをやっている方もいます。一方で、こうなれば住みやすいんだけど、具体的なやり方がわからないという方もいます。その場合は相談に乗って、作業を手伝うこともありますね。
—— 鈴木さん自身がですか! 入居者さんと交流することもあるんですね。
鈴木さん: 入居者と交流があることに否定的な方もいます。でも私達は恵まれていて、入居者さんは本当に若いのに誠実でしっかりされていて。いいお付き合いをさせていただいています。まさにプライスレスです。
所有してる物件が、ひとり暮らし向けのワンルームではなく、ある程度広さのある戸建やマンションだとファミリーの方やカップルの方が入居します。そのうちお子さんが産まれてお祝いしたり、どんどん関係性が深くなっていきます。退去されたのにずっと付き合いがある方もいますよ!
—— 素敵な関係性ですね。「この家だから」とこだわって入居された方だからこそ、自分の暮らしや人との付き合い方に対して意欲的なのかもしれませんね。
鈴木さんとお話して、大好きなインテリアと不動産・得意なDIYを活かし入居者さんと良い関係性を作りながら、楽しんで大家さんをやられている印象を受けました。
一方で入居者のターゲットを絞り、再生にも徹底的にこだわり、ペットも可にして差別化しているからこそ入居者さんが長く住んでくれる、という鈴木さんの戦略のうまさもしっかりと感じました。
鈴木さん、ありがとうございました!

物件ファン掲載のポイント
- 大家さん自身が気づいていない物件そのものの良さを、物件ファン独自の目線で紹介することができる
- SNSの拡散力があり、「いい家があれば引っ越したい」というような方にもリーチすることができる
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