伊東豊雄氏と言えば、
「建築界のノーベル賞」とも呼ばれる
世界で最も権威ある建築賞のひとつ、
プリツカー賞も受賞した
世界的な建築家です。
氏の初期の住宅作品が
宿泊施設へと生まれ変わり、
このたび見学会が
開催されることとなりました。
見学会の詳細は記事末尾でご案内しています💁♀️
「小国S邸」は、彫刻家の末田龍介氏と
造形作家の末田栞氏夫妻の
自宅兼アトリエとして
1997年に建てられた住宅作品。
シンプルな造形のブリッジがかかる
建物の中央の半屋外のテラスが
特徴的な建物です。
夫妻が亡くなった後
6年以上に渡って空家となっていたため
草木も茂り、建物も傷みが
激しい状態でした。
以前、物件ファンでご紹介した
見学会は、このような大規模修繕前を公開し、
その後再生するまでの計画と過程を
紹介するというものでした。
物件ファンファンさんの中には
覚えている方がいるかも知れません。
https://bukkenfan.jp/e/10982026082709931938
そしてついに、その修繕が完了。
「小国S邸」は「OGUNI S HOUSE」
として生まれ変わったのです。
見比べてもわかるように、
建物前面のアプローチが
きれいに整備され、シルエットが
より一層際立つようになっています。
背景の色濃い緑とモノトーンで
統一された建築との
対比が利いています。
末田夫妻の作品などが並ぶ前庭。
シンプルな砂利敷きだからこそ、
作品や建物の形態の持つ美しさが
よりはっきりと感じられます。
半透明の波板を用いた外壁は
現代の感覚で見ても非常に斬新です。
光を通し、ぼんやりと内部の
様子が透けるこの素材は、
窓と外壁の間のような存在感で、
豊かな自然に囲まれたこの土地に
ぴったりな材料なのかもしれません。
ブリッジや柱も錆をきれいに落とし、
新築当時のような美しさを
取り戻しています。
そしてこのブリッジの先にあるのが、
今回宿泊スペースとなった区画。
こちらはメインスペース。
伊東豊雄氏のデザインした
ダイニングテーブルが空間に
よくマッチしています。
メインルームの反対側には
テラスに面した波板の壁が。
光が拡散するので自然光だけでも
十分明るく感じます。
造作のデスクも
波板を固定する金物と高さを合わせ、
スッキリと納まっています。
メインスペースから奥に進んだ
こちらにはベッドスペース。
窓から見える景色も素晴らしい。
伊東氏の建築ではおなじみの
パンチングメタルからこぼれる
光の粒が部屋の中に
やさしく降り注ぎます。
ここに泊まるという体験自体が、
旅の目的にもなりえると思います。
緑を眺めながらお風呂に浸かれば、
長旅の疲れも途端に
ほぐれていきそうですね。
全4区画のうち、残る3区画では
ノンアルコールカクテル&ワインのお店、
さらに木工アトリエ&
ワークショップスペース、
そしてコワーキングスペースが
それぞれオープン予定。
今回の見学会は、そのうちの一店舗
福岡のartiさんの協力で、
名作椅子に座り、美しい景色の中で
建築とノンアルコールカクテルを
楽しむという趣向となっています。
住宅から宿泊施設として生まれ変わり、
新たな道を歩む「OGUNI S HOUSE」。
名建築の保全がこの先、
町をどのように活性化させていくのかも
非常に楽しみです。
これから始まる
素晴らしいフルコースの
食前酒のような見学会になりそうです。
泊まれる名建築と椅子とモクテル展
【日程】
2025年11月14日(金)~16日(日)
【時間枠】
10:00-11:30|12:30-14:00|14:30-16:00
【参加費】
無料
【定員】
なし
【所在地】
熊本県阿蘇郡小国町エリア(ご予約の方に現地住所のご案内を致します)
【ご参加方法】
希望の日程と時間枠、お名前、お電話番号、メールアドレス、名建築保全への関心について明記の上、記事一番下の緑のボタン「この物件を問い合わせる」をタップorクリックし、お問い合わせください。
※「ご予約完了」は、運営からの返信をもって完了とさせていただきます。
修繕プロジェクト&見学会を主宰するShare Architectureについて
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文・佐藤シュン
浜松で設計事務所をやりながら、黒猫と暮らしています。