「せんだいメディアテーク」や 「シルバーハット」などで知られる 世界的な建築家、伊東豊雄氏。 このたび、氏の設計した 貴重な住宅作品の見学会が開かれます。

見学会の詳細は記事末尾でご案内しています💁‍♀️

「小国S邸」とは 彫刻家の末田龍介氏と 造形作家の末田栞氏夫妻の 自宅兼アトリエとして 1997年に建てられた住宅作品。 龍介氏は、建築家の吉田五十八氏が 設計した「成田山新勝寺」の 一室のために彫刻を提供していたり、 「立体最小限住宅」で有名な 池辺陽氏の研究室と共同で オブジェ作品を出品するなど、 名だたる建築家とも縁が深い 知る人ぞ知る希有な彫刻家です。

過去に林雅子や原広司といった そうそうたる建築家に自宅の設計を 依頼してきた末田夫妻。 “終の棲家”として選んだのが この家というのもうなずけるような プリミティブな住宅です。

建物の中央に大きくとられた 半屋外のテラスには シンプルな造形の ブリッジがかかっています。 テラス側の外壁は半透明の波板、 外壁は成形セメント板で 屋根は金属の折板と、 使われているのは素朴な材料ばかり。

窓の上部にかかるパンチングメタルは 伊東氏の建築ではおなじみの材料です。 直射日光を和らげながら、 光の粒を室内に 落としていたのでしょう。 この住まいやアトリエで 過ごしたからこそ生まれた末田夫妻の 作品もあったのかもしれません。

しかし、そんな建築も 末田夫妻が亡くなった後 6年以上に渡って空家となっていたため、 そこかしこにほころびが目立ちます。

鉄骨の塗装が剥がれ落ち、 天井は一部崩れ、 外壁もサビや苔で覆われた状態。

今回の見学会は、 大規模修繕完了前の 建築を公開しつつ、 今後、宿泊施設として再生するまでの 計画と過程を紹介するというもの。 さらに末田夫妻による芸術作品が いまの状態の空間に展示されるという 特別な試みとなります。

夫妻の愛した建築が 生まれ変わるその前に、 夫妻の遺した作品達が 帰ってくるのです。

修繕後には宿泊施設のほか 4区画中3区画が熊本エリアの 事業者さんや企業さんが活用できる 場にもなるとのことですので、 ご興味のある方は ぜひ別途お問い合わせを。 1つの建築を遺すことが 地域全体の活性化にも つながってゆくのかもしれません。

生まれ変わった建築が 後世に受け継がれる、 そのプロローグともいえる 今回の見学会。 ぜひお越しください。

「小国S邸 」見学会（詳細欄の緑のボタンより事前に必ず予約してください）

【日程】 2025年6月16日(月)～6月22日(日)

【時間枠】 10:00-11:30｜12:30-14:00｜14:30-16:00

【参加費】 無料

【定員】 なし

【所在地】 熊本県の阿蘇郡小国町エリア(ご予約の方に現地住所のご案内を致します)

【ご参加方法】 希望の日程と時間枠、お名前、お電話番号、メールアドレス、名建築保全への関心について明記の上、記事一番下の緑のボタン「この物件を問い合わせる」をタップorクリックし、お問い合わせください。

※「ご予約完了」は、運営からの返信をもって完了とさせていただきます。

修繕プロジェクト＆見学会を主宰するShare Architectureについて

文・佐藤シュン 浜松で設計事務所をやりながら、黒猫と暮らしています。