東は堀川通りから西は千本通りまで、
京都の街中を東西に800mにわたって貫く
「京都三条会商店街」。

地元の人や観光客で日々にぎわう
活気あふれるエリアですが、
商店街から出てすぐの路地に入れば
ふっと静けさに包まれます。

そんな街中のエアポケットのような
路地奥にたたずむのが
今回ご紹介する京町家。
路地奥とはいえ住宅密集地の
圧迫感や閉塞感はなく、

ほどよく街に開いて
つながっている感じがある。
街中の利便性と隠れ家のような
プライベート性を両立できるのは、
京都ならではかもしれません。

間取りは2階建ての2LDK。
2025年7月にフルリノベされたばかりで
どこもかしこもピカピカです。

路地に面したポーチには
自転車やバイクを停められる
スペースを確保。
グレイッシュなボルドーの外壁に
お似合いのタイルが
家の中までリズミカルに続きます。

玄関と入ってすぐの洋室は
路地に面した大きな開口が
光と人びとの気配を取り込む
外と中のあわいのようなスペース。

ご覧のとおりの開放感ですが、
家が路地のどんつきにあるので
窓の外を通行人が頻繁に
行き交う、なんてことはなさそう。

自宅でリモートワークする人は、
こんなふうに大きなテーブルを置いて
仕事部屋に。
ご近所さんが立ち寄ったときに
お茶できるスペースや、
友人を招いてランチする
スペースを兼ねても
きっと楽しい。

リブガラス戸で仕切られた
隣の部屋は寝室です。
路地からの光を取り込みつつ、
視線は完全にシャットアウト。

一見、のっぺりとした
シンプルな空間ですが、

向かって正面の木の壁には
ウォークインクローゼットが
仕込まれているんです。
さらに、左手の壁にも扉があり、
開けると…

サニタリーが隠れていました。
寝室の隣にバスルームがあるなんて
海外のお家のようだ。
トップライトから注ぐ自然光のなか
朝の身支度をできるのがうれしいですね。

トイレはアーチのニッチ付きで
かわいらしく、

新品のお風呂は窓付き。
町家の最奥だからこその
採光への配慮に脱帽してしまいます。

続きまして、
階段を上った先にある

2階のLDKもがっつり
プライベートスペース。
高い天井とダイナミックな梁、

大きな窓のおかげで
1階と同様に町家とは思えない
開放的な空間です。

ムラのあるボルドーが印象的な
キッチンは、洗面台とお揃いかな。
キッチン側にも窓があって
明るい光のなか
ご機嫌な気分でお料理できますね。

リビングスペースには
窓際にベンチが備わっているほか、

ヌックのような小上がりの
畳スペースもありますよ。
ソファは置かずにラグを敷いて
低い姿勢でくつろげる
リビングにするのもいいなあ。

窓を開けれは、自分ちからも
かすかにレコードの音や家族の会話が
路地に漏れたりするんだろうか。
そうだといいなと思う。
路地に暮らしていることを
実感できそうだから。

賑やかさと静寂のその間、
あわいにたたずむ京町家。
街に守られているかのような
路地奥の家を出て、
ご近所さんに挨拶しながら
喧騒の中へ向かう暮らし、
すぐに好きになりそうです。