こんな光の中でお湯に入るなんて、
とろけちゃうよ。

いけないいけない、気持ちよすぎ。
頭を洗って正気に戻る。

洗面台と風呂を隔てる扉が、
スケスケということは。

お部屋からお風呂が丸見えなんだ。
浴室から光が溢れている。

ふむふむ、なかなかおもしろい。
スケスケでキラキラのお風呂だけで
面白くて嬉しいのに、ルーバルも。

洗面台で身支度をしていると、
とろけた体がもとに戻っていく。

そのまま、キッチンに向かえば、
ちゃんと人間に戻れている。

レモンを切って炭酸水に浮かべて、
ごくごく飲み干せば、ほら、
もういつもどおり。

一階で生活のすべてを終えたなら、
二階でまた、とろけそうになる。
生活のすべてが収まりそう。

真っ白なベッドをあそこに置いて、
ふかふかの雲があるみたい。
ここでまた、人間じゃなくなって、
とろとろになる。

いけないいけない。
バルコニーに上がって、
つめたい風を浴びる。ふう。

階段を降りながら、また人間の形を
取り戻していく。

ちゃんと身支度できたはず。
階段から降りてくるお隣さんも、
お風呂でとろけた体を必死に、
人間に戻しているにちがいない。

そして帰ってきたら、また、
誰にも見られないように、
湯気と光とお湯に溶けていく。