中庭の他にも複数の庭があり、 どの部屋にいても、光を感じられる 京町家。 書院や欄間、和のおもむきを存分に 味わうことができ、しかも…

ところどころ改装された洋間は ほんのり北欧テイスト。 和と洋、どちらも楽しめ、ゆったりと 暮らせそうです。

2階建ての6SDK。 道路に広く面しています。 玄関が2ヵ所もあるので、 住みながらお店を開きたい方にも おすすめかもしれない。

道路側は植え込みを挟んで、 対照的なつくりの玄関が並びます。

まずは左の京町家らしい門扉を くぐりましょうか。

中に入ると、石が敷き込まれた風情ある 前庭と障子戸の玄関。

前庭は屋根があり、雨の日でも 濡れなくて便利が良さそう。

障子戸の横にも、引き戸があります。 以前は勝手口だったのかな…。 どちらも新築では作れない 味のある建具。 このままでも利用できそうですが、 もしリフォームをするなら どうにか残して活かして欲しいな。

障子戸の向こうは、 2帖の小さいお部屋。 障子越しの光は、なんとも 風情があります。

2帖のお部屋の隣は 7帖のダイニングキッチンと洗面台。 水回りが集中しています。

昔の火袋部分を利用したであろう 高窓のおかげで、 光があふれるキッチン。 以前にリフォームをされたようで、 コンロはグリル付きでIHの3くち。 広いシンクとワークトップ、 上下にたっぷりと収納があり 料理するのには困りません。

白い木の窓枠や、高窓、色むらのある フローリングが、どことなく北欧の お部屋に似ている気がするのですが 私だけでしょうか。 玄関とのギャップもあり とてもユニーク。

2帖のお部屋の横には中庭を眺められる 縁側が伸びています。 写真右側の雪見障子を開けると大広間。

12帖の広間は反対側にも開口があり、 光を風が通り抜けます。

広間は真ん中を襖で仕切ることが できるので…

このように6帖間として使うことも。 障子の欄間が映えますね。

間取り図を見ると、こちらの窓の外にも 小さなお庭があるようです。 効率よく明かりを採るための 知恵なのでしょうね。

この地袋のある窓もいいですね。 厳密に言うと床の間の横にはないので そうではないのでしょうが、 付書院の趣があるように思います。 小物や花を飾るスペースとしても 素敵です。

一旦縁側に出て、お隣のお部屋を のぞくと、さきほどとは打って変わって すっきりとした洋室でした。 そして左にあるのは、 もう一つの玄関扉。

冒頭にご紹介した右側の方に あたります。

キッチンもそうでしたが 一つのおうちに、ここまでテイストの 違うお部屋が混在するのは、 なかなか珍しいと思います。

ダイニングキッチンにある階段をのぼり 2階へ。

いま一度、間取り図を確認。 2階は3部屋。

7帖と8帖の部屋は、畳が取り除かれ ひと続きの大きな板の間に なっていました。

とはいえ、床の間と床脇はしっかりと のこされており。

天井は伝統的な船底天井。

リフォームを施せば とびきりしゃれた和モダンの空間に 生まれ変わりそうなポテンシャルを 感じます。

わ、すごい。 以前は押入れだったところの 壁の下地に古新聞が 使われていたようです。

これは貴重な！ いつの時代のものなのでしょうか。 このお家が持つ、長い歴史の一端に 触れられたような気がします。

奥には5.5帖の和室もあります。 角部屋なので、2面採光。 子ども部屋などにちょうど良い 大きさです。

窓の外にはベランダが、隣のお部屋まで 続いていました。 南と東に向いているので お日様の光をしっかりと 受け止めてくれます。

場所は京阪電車、神宮丸太町駅から 徒歩3分という、駅近くにあり 京都御所や平安神宮からもアクセスの 良い場所。 美術館が集まる岡崎エリアに 隣接しながらも、自然豊かな住宅地 なので、静かな環境。 まわりには美味しいお店や 伝統的なお店も多く、毎日楽しめるエリア。

それにしても、何度見ても 素敵でほれぼれしてしまう。

経年を得たからこその、 えも言われぬ表情。

不意に現れる、しゃれたディテールも せつなくなるほど愛おしい。

うん、ずっと愛でていられる…。

そんなことを思い、 住み継いでくれるあるじを 和洋2種の雰囲気を持つ京町家が ふたつの玄関を開けて 待ってくれています。

文・葱山紫蘇子 大阪在住で子供を4人産んで育ててる独り身。元劇団維新派役者竹山らいち、元ミニシアター従業員、元介護職。建物と書き出し小説と漫画と毛布のヘリが大好き。 @sisokoex