瓦が埋め込まれた三和土の玄関、 格子状の透かし窓もしゃれていて すらっと伸びた土間の先には 光があふれて… モダンな和のおもむきが いたく魅力的で見惚れてしまう。 こちらのおうちは以前、 洗い張り屋さんだった一軒家。

その昔、着物が普段着だったころ、 汚れた着物は専門のお店に お預けしていました。 それが「洗い張り屋」。 職人さんは丁寧に着物の糸をほどき 反物の形に戻し洗い、しわに ならないよう板にピンと張って乾かし 新たにのりを引き生地を蘇らせます。 昭和初期の商店として 活躍したであろう歴史を、 ひしひしと感じることのできる建物です。

リノベーションにより古きよきものは残し、 不便な所は刷新した、 その混ざり具合もなんとも絶妙です。 今回は飲食店舗としての募集になります。

思わず「お邪魔しまーす」と、 言ってしまいそうな、親しみのある玄関。 扉は意外にも重厚な鉄製。 中に入ると、冒頭でお見せした 三和土と土間が待っています。

框を上がると広がるのは約8帖の板間。 手前に3.6帖のホールもあるので 広く感じられるはず。 お店にするなら、 靴を脱いで上がってもらう 隠れ家的なカフェになるのでしょうか。

階段下の元押入れは ただの収納にするにはもったいない。 上部に飾り棚を設ければ、 かっこうのディスプレイコーナーに なること請け合い。 下段にソファーを置いて、おこもり感の ある客席にするのも良さそうです。

かつては台所があった土間は フラットなままにしてあります。 奥まで土足で行けるので 業者さんが搬入する際にとても便利。 片側に棚を設えて、 パントリーにするのもいいですね。

突き当りにはこんなスペースがありました。 洗い張り屋さんだったころの名残で 陽当たりがよく、ほど広い空間。 厨房を設置するならうってつけです。

コンパクトな縁側は、 トイレへの通路になっています。

2.5帖のゆったりしたトイレは、 より落ち着きのある プライベート空間に仕上がっています。

2階にはキッチンや浴室などの 住設備が備えられているので、 住居としても利用可能です。 通勤時間0分の、 職住近接の暮らしが叶いますよ。

これはまた、なんとも味わい深い壁面。 時代を経たからこその質感は 簡単に目を離せない魅力がある。 天井を表しにして、 開放感も生まれました。

奥にはレトロな型板ガラスが はめ込まれた大きな窓と あたたかみのある木の特製キッチン。

16帖のスペースは、住居なら広めの ワンルームとして住めますね。 キッチンが壁側にあるので、 お店の客席としても使えます。

洗面室は3帖でゆとりのある広さ。 壁の端から端まである窓も とっても気持ちがいい。 顔を洗いながら、窓からの光を たっぷり浴びれば、仕事への気力が あふれるに違いない。

2階にもトイレがあるので、 客席にするにしても心強い。

脱衣所兼洗濯機スペースは2.3帖。 掃除道具などの 収納スペースとしても使えそうです。

看板建築風な外観でレトロな雰囲気も たまらないですね。 場所は大阪メトロ谷町線、文の里駅から 徒歩3分、JR阪和線、美章園からも 徒歩7分と、2WAY可能。 天王寺へもほど近く、 自転車でも行ける距離。 住宅街にあり深夜営業は難しいので ランチやカフェをメインにしたお店が おすすめとのこと。

大阪情緒ある街並みながら、 長屋を改装したお店などもオープンし、 じわじわ賑わいが出てきたエリア。 居心地や雰囲気を重視したお店を 作るのに、このうえない物件です。

文・葱山紫蘇子 劇団維新派→色々→介護業を経験。漫画と建物と書き出し小説が好きな4人の子を持つ大阪のシングルマザー。 @sisokoex