年月を経たものを手入れして いつくしむのが好きな方に おすすめしたい、戸建てがある。 年代物の4DKは、 ファミリーで住むのに充分な広さ。 夫婦の終の棲家にするならば ゆとりある暮らしがおくれそう。

懐かしいたたずまいの玄関は 引き戸がカラカラと いい音を立てて出迎えてくれる。

意外とゆったりとした玄関。 しっとり落ち着いた雰囲気で 思わず「ただいま」と言いたくなる。 もし、リフォームするなら、 立派なマルーン色の靴箱を活かし 風格あるテイストにするのも悪くない。

入ってすぐにある部屋は 6帖の和室。 長い歳月の末、飴色のつやを増した 付け柱や長押は、 この家が持つ宝のひとつ。

畳を新調すれば、引き続き 伝統的な床の間付きの座敷として 利用できるだろう。 光があふれる和みの空間は 見ているだけでも心がやすらぐ。 フローリングに張り替えて 現代的に使いやすくすることも できそうだ。

庭の裏は隣接する建物の 駐車スペースになっていて、 南向きで陽当たり良好。

きっと明るくあたたかい、 居心地の良い部屋に なることだろう。

建具で仕切られた続きの間は4.5帖。 右手は6帖の和室、 左手はキッチンへつながっている。

建具を取り払うだけでも、 かなりの開放感を得られそうだ。

空色のタイルにキッチュな柄の扉が レトロ好きの心をくすぐる 5.4帖のキッチン。

横に長い流し台は、 料理するのに充分な広さ。 壁側には冷蔵庫や調理家電、 食器棚などを置ける余裕がある。 写真右奥には物入れもあり、 収納場所も心配いらず。

流し台上の横長の窓から光が入り、 日中は手元も明るいだろう。

キッチン横の勝手口は 外の土間につながっているので ゴミ出しや掃除などの家事に 便利なつくりになっている。

使い勝手が良さそうとはいえ、 キッチンはやっぱり新しいものにと 希望をお持ちの方には、 先に見た4.5帖の和室が 大いに役立つはず。

板の間にしてキッチンとつなげれば 広いダイニングスペースが 叶うことだろう。

また、1階のいちばん奥の 南向きの6帖間をつなげて フローリングに変更し、 大きいリビングにしてしまうのも ひとつのアイデア。

ここも南向きで陽当たりがいいから 過ごしやすいリビングに 変身してくれるだろう。

もしくは、ここを和室のまま残し 寝室や客間として利用できる くつろぎのスペースにするのも いいかもしれない。

ライフスタイルに合わせて いかようにも変化してくれそうな 包容力とポテンシャルが この家にはあると思う。

2階は9帖の和室がひと部屋だけという 贅沢なつくり。

南・東・北の3方に窓があり、 日中は照明がいらないほどの明るさ。

窓を開けるときっと、 すがすがしい風が 通り抜けることだろう。

南東の2面にバルコニーがあり、 洗濯物がよく乾くこと、うけあいだ。

バルコニーからは 北山通と比叡山を 望むこともできるのだとか。

寝室にすれば、ゆったりとした くつろぎの空間になるだろう。 子ども部屋にするなら 2部屋くらいとれそうだ。

地下鉄烏丸線松ヶ崎駅から徒歩5分。 北山駅からも徒歩7分の交通アクセスの よい立地。

周辺にはコンサートホールや美術館、 大学や植物園もあり、 賀茂川にもほど近い。 文化度の高さと環境の良さが魅力的な 京都有数の高級住宅地として知られる 北山エリアだが、 こちらは再建築不可の物件なので、 お求めやすい価格となっているとか。

また、今年の1月に 大屋根を葺き替えしたところなので その分のメンテナンス費用が おさえられるのもありがたい。

浮いた費用は、 リフォーム費用に回して 建物をいつくしめば より一層、居心地のいい すてきな家になるに違いない。

文・葱山紫蘇子 劇団維新派→色々→介護業を経験。漫画と建物と書き出し小説が好きな4人の子を持つ大阪のシングルマザー。 @sisokoex