古い廃ビルや館跡に入り込んで、
自分たちなりに改装して住み着く。
そんな妄想を子どもの頃に
したこと、ないですか？

私はこの物件を一目見て、
懐かしい憧れというか、
かつての妄想を思い出しました。


私がしていた妄想は、館跡。
しかもお金持一家が住んだお屋敷のそれ。

高価な調度品は全て売りさばかれ、
解体もなぜか途中で止まり、
コンクリートが剥き出しになった空間。

ちょうどこんな感じに
質の良さそうな木材と
剥き出しのコンクリートが
ミックスされた部屋で、

残されていた壊れかけの
大きなソファに体を沈める。
テレビを眺める私の頭上には、
明るいとは言い難いけどお気に入りの照明。

画面に流れる映画は
もう何回も見てセリフも覚えた。

誰と見に行ったかは覚えていないけど、
人生で初めて
自分でお金を出して見に行った
映画だったことはよく覚えてる。

夏の映画といえばドラえもん、
という世界から大人になりたかった
幼い日の夏の思い出だ。

私は大人になったか？ 大人って？

とか、鏡を覗き込みつつ
自問自答するところまで込みで、
妄想してました。笑
まあ厨二病みたいなもんです。



そんな私の憧れと妄想を、
清潔感と高級感を兼ね備えた
コンパクトな生活空間として
具現化してくれたこちらのお部屋、
今どきのライフスタイルへの
気遣いもあちこちに見られるんです。

たとえば間取りにある通り、
作り付けのキッチンカウンターは
ワークデスクとしても利用可。

リモートワークが増えたけど
部屋に似合うデスクがない、
あるいはデスクを置くスペースがない。
そんな人にうれしい仕様です。

作り付けだからこそできる、
お部屋を広く使えるアイデア。

料理に使えるし、仕事机にもなるし、
一人用のダイニングテーブルにしても良い。
ここで生活のほとんどが完結しそうです。


ベッドを置くことを想定しているであろう
奥のスペースとの間には
木目を巧妙に組み合わせてデザインされた
素敵な壁があったり、
床材がコンクリートから
木へと切り替わっていたりと、
絶妙にゾーニングされてもいる。

リモートワークしている時の敵はベッド、
って人いませんか？

フリーランスあるあるでもありますよね。

空間がゾーニングされていることで
オンオフの気分の切り替えができそう。

そして目線を玄関土間へ移すと、
こちらはスペースが広めに取られていて、
少し贅沢な気分にさせてくれます。

どんなに室内をカッコよく仕上げても、
お部屋の第一印象である
玄関がイケてないと
帰宅時に残念な気分になりますよね。

よく見てもらうとわかるのですが
この玄関、所々で木材を
使い分けてるんですよ。

下駄箱が少しラフな素材なのは
用途的な理由でもあると思うのですが、
天井やら壁やらそれ以外の箇所も
微妙に違っていて。
先ほどのゾーニングと同じで、
気分にメリハリをつけてくれるだろうと。

うん、よく考えられてるなー。

何に使う、どういう場所なのかによって
材質を調整しつつ、
全体的なトーンは大きく変えず。

水まわりもこの仕上がり。

作ってる人にとっては
普通なのかもしれませんが、眺めるほどに
「ほんとちゃんとしてるなー」が見えてくる。

「秘密基地」っていう表現より、
「隠れ家」のほうがしっくりくる大人な感じ。

これ、このライン、よくないですか？
私は大好きになりました。