観光地でありながら
人通りが少なく穏やかな街。
アートブックや古書を扱う
お店がお隣さん。

ゆっくりとした時間が流れる街に
まるで老舗旅館のような
京町家がありました。

建物の前に塀がある
大塀造（だいべいづくり）の京町家は
かつて裕福な商人たちが
取り入れたデザインだとか。

立派な瓦屋根は
波打つ水面の日本画のようで
思わず見入ってしまいます。

さて、こちらの京町家
玄関はどこかといいますと
門を入って建物沿いの細道を
スルスル通った先にあります。
間取り図の左端に、ご注目。

人ひとり通れるかどうか…くらいの細道。
路地裏を歩く猫の気分！
ソワソワ、ワクワクしちゃうな。

玄関の脇には手水鉢。
味わい深い木の格子扉や
じんわり輝く銅色の雨樋。
日本らしい佇まいに
思わず背筋が伸びます。

中に入ると驚きの解放感！
幅広の土間は視界が開けて
明るく気持ちのよい空間です。

2018年にリフォームしたという内装は
和のテイストを大切に
それでいて明るくモダンな印象。

もともと宿として使われていたそうです。
そのためダイニングは
おもてなしにもぴったりの広さ。

庭の緑を眺めながら
家族や友人と食卓を囲む。
毎日変わる景色が
会話をより弾ませてくれることでしょう。

ダイニングは一部ベンチになっています。
人数や座り方をかっちり決めず
心地のよいおもてなしができそうです。

キッチンはL字のカウンター付き。
カウンターで一杯飲みながら
ゆっくり料理をする…
そんな時間もいいな。

ブラックのフロアキャビネットに
キッチントップや収納棚には
木材を組み合わせた
和モダンな雰囲気に、惚れ惚れ。

お庭は手前と奥に1つずつという贅沢な造り。
通りに面したダイニングですが
間に小さなお庭と格子の門があるので
プライバシーを確保できます。

廊下を挟んだ奥には
しっとりした雰囲気漂う和室を用意。

広々とした空間に、大きな掘りごたつ。
冬には袢纏を着て
熱いお茶を飲みながら
お庭を心ゆくまで眺めたい。

庭先に腰を下ろせます。
揺れる草木の影や優しく輝く木漏れ日。
京都の移り行く季節を
肌で感じるのでしょう。

足元には瓦と小石で作った
流れのようなデザインも。

木の階段を上って2階へ。

約7帖の洋室は
フローリングに障子を合わせ
和洋折衷の洗練された空間です。
勾配天井がおこもり感を演出。

作り付けのカウンターは
デスクとして使おうか。
手元にポワンと灯る照明を置いて
寝る前に静かに日記をしたためたい。

窓際にはかつて宿だった名残も。
広縁として
低めのテーブル&チェアを置くのもいいな。
プラスワンの
リラックススペースがあるって、贅沢。

廊下を挟んで隣には、6畳の和室。
コンパクトながら収納もあります。
布団やローベッドで寝室にしても
お客様用のお部屋にしても。

エアコンは木の格子で
隠す心づかいもうれしい。

トイレは1階と、2階にも。
夜間も階段を上り下り
しなくていいのは助かります。

最後は1階のサニタリースペースを。
洗面所とトイレが１カ所にまとまった
広々としたフラットなスペースに

木の温もりに包まれる至福のバスルーム。
大きなバスタブまで
木でできているというこだわりです。

ほっこり安らぐ和の雰囲気と
暮らしやすそうな
モダンなデザインが融合した空間には
上質な時間が流れているんでしょうね。

素朴ながら思わずため息が
漏れてしまうこだわりも
一度じっくりと眺めてみたいものです。