「研究所」というコンセプトで リノベーションされた京町家。 その理由はさておき、 吹き抜けの壁を天井近くまで覆う本棚は 本好きにとって、垂涎の的…。

本棚の横には こんなワークスペースもありまして。 お仕事にはもちろん 趣味の「研究」にもうってつけの 落ち着くスペース。

床を一段下げて ゆるやかにゾーニングされたリビング。 シックな色合いのタイルとルーバーで 気品高く仕上げています。

こちらの壁にも 大きな棚をしつらえてあります。 お気に入りのコレクションは 面だしして並べたい。

趣ある京町家のレトロな要素を残しつつ モダンに生まれ変わっています。

声を大にして紹介したい、 端正なキッチンもご覧ください。 くすんだネイビーのタイルの美しさよ…。 飴色の収納棚との調和も素晴らしくて、 思わず息をのむほど。

もちろん、美しいだけではなく スワンネックの蛇口に3くちコンロ、

ダイニングテーブル代わりにもなる カウンターの下部も収納になっていて 使い勝手も抜群のキッチンです。

ここで間取り図を拝見。 床暖房やスピーカー付きのダウンライトとか、 どこまで思慮深いんでしょうか。

1階にはサニタリースペースも。 ああ！蛇口と水栓がアンティーク風！ アクセントの飾りタイルも 大変かわいらしい…。 床の八角タイルもお見逃しなく。

落ち着いた色調の浴室も この家の趣にふさわしくて、 期待を裏切らない、サニタリーでした。

スケルトンの階段を 軽やかに上がり、2階へ。

6帖の和室は 凛としたたたずまい。

市松模様の壁が 雅致に富みます。

吹き抜け側に、大きな室内窓を設けて お部屋を明るくするとともに、 本棚を望めるようになってるんですね。

もう一つの部屋は8帖の洋室。 こちらは柔和な印象。

ゆるいアールの天井に間接照明で とても優しい雰囲気です。 壁の常夜灯も嬉しい。

窓の木枠も、 和のデザインで品がいい。 外の格子の影が見えると、 より一層優美に。

車一台が通れるくらいの 細い路地を進むとあらわれる、 黒塗りの京町家。 きりりと引き締まった一文字瓦の軒下は クラシックカーがとてもお似合い。 乳白ガラスの玄関灯も素敵です。

そうそう、室内の照明も素敵でした。 玄関を入ってすぐには、 あたたかくてノスタルジックなライトが 出迎えてくれます。

京都、出町柳からほど近く、 京都大学のある学問の町、吉田は 文化面だけでなく、鴨川や吉田山といった 自然にも恵まれたエリア。 そうか、だから「研究所」を コンセプトにしたんですね。

アカデミックな街で 優美な和モダンと本棚に囲まれた暮らし。 ぜひとも、送ってみたいものです。

文・葱山紫蘇子 劇団維新派→色々→介護業を経験。漫画と建物と書き出し小説が好きな4人の子を持つ大阪のシングルマザー。 @sisokoex