ああ、いい平屋だ。 空がすこんとぬけていて 鋭角のブロック塀が 船の舳先を思わせる。 のんびりした時間が過ごせそうな 海老茶色のかわいい平屋。

船というより ちょっといびつな ホームベース型だった。 わかりやすい四角の敷地もいいけれど 五角形だなんて、 ユニークでたいへん愛おしい。

最初は玄関から入るべき なのでしょうが、 好きな物を一番に食べる わたくしとしましては、 まずはこのテラスから 上がってみたい。

透明の波板に白い木の柱、 手作り感がレトロで なごやかな気持ちになる。 いいなあ、ここ。 冬晴れの暖かい日には 窓を大きく開けて、 秋から仕込んでおいた 干し柿をひとつ取り ぱくりむしゃむしゃ… なーんて憧れちゃう。 あつあつのほうじ茶と干し柿で ほっこりと、 ひなたぼっこをしたいのですよ。

テラスに面するは 6帖のフローリング。

大きい収納が嬉しいつくり。 手近に置いておきたい掃除道具や こまごまとしたものを、 余裕を持ってしまっておけそう。

小ぶりのダイニングセットと ソファーを置いて すみっこには、背の低いテレビ台。 うん、うん。 居心地のいいリビングが 見えてきたぞ。

キッチンは4.5帖で 少しコンパクトだけど、 テーブルを置かずに 収納メインの作業カウンターにすれば 逆に、広々としたキッチンに なりそうな予感がする。

洗濯置き場はこちらなんですね。 珍しいけれど、 洗濯が終われば、すぐに気がつくので 家事動線としては結構ありがたいんだ。

ということで、 脱衣所兼洗面所はこんなふう。 洗面台のすぐ上が窓だから 鏡が横の壁についていて、 ここもユニークだなあ。 顔を洗って、窓からの風に吹かれたら しゃっきりすっきり目が覚めますね。

築50年以上のいぶし銀ですが 昨年のリフォームで水回りも一新され 清潔感にあふれています。

シンプルでちょうどいい広さのお風呂には 大きめの窓があり、換気もよさそう。

タンクの後ろに窓があるつくりは かつてのトイレの面影を残していて、 なんだか嬉しくなっちゃうな。 タンクの蛇口をよけるため、 丸くカットされた造作棚の 芸の細かさにも、ご注目を。

サニタリーのお向かいには 6畳の和室です。 2面採光で、とっても明るい。

押し入れもあるので 寝室にするのがいいかしらん。 掃き出し窓の外は 船の舳先…もとい、 ホームベースのとんがり部分。 四季折々の草木を植えれば いいお庭になりそう。 朝、起きてすぐに お庭の花々を愛でられる。

おっと、忘れていました。 じつは、寝室候補はもうひとつ。 リビングの奥には5帖の洋室があり、 こちらはなんと、 天井がななめになっているんです。 うわー、ななめ天井の寝室も捨てがたい！ どちらにしようか、 考えるのが楽しい悩みです。

最後は玄関。 下駄箱を置いちゃうと ちょっと狭いかな…と思った方は、 こちら、DIY可能なので 作り付けの棚をがんがん増やしましょう。 写真はありませんが、 間取り図には物置の記載があるので 道具置き場にも、困らなさそう。

室内は壁の白さに木のなげしが素朴で このままでも十分素敵なんだけど、 DIYも可能だなんて… アクセント壁にしたり 棚を作ったりして、 よりいっそう、素晴らしく素敵に なっちゃうじゃあないですか！ おまけに、鎌倉、江ノ電沿線だなんて…。 高いポテンシャルを秘めた 鎌倉のかわいい平屋。

本気で移住を 考えたくなっちゃいました。

文・葱山紫蘇子 劇団維新派→色々→介護業を経験。漫画と建物と書き出し小説が好きな4人の子を持つ大阪のシングルマザー。 @sisokoex