ちょっと懐かしくて ファンシーな看板がたまらない 『天文坂ニュータウン』。

熊本県にある住宅街です。

看板のデザインからして 星空の名所なのかな。 それとも、 静かな環境ですよってことなのかな。

と想像したんですが、違うんです。 この閑静な住宅街の

階段を登った先に、

天文台です。

間違いなく、天文台です。 住宅街に、天文台。 戸惑いますよね。

「天文台付きの土地」なんて 初めて口にした言葉です。

坂の上に天文台が付いてるから 『天文坂ニュータウン』だったのか。

天文台がついた93坪の土地が 売りに出されているのです。

天文台は直径３メートルほどの大きさだそうで 中は小学生２０名ほどが入れるみたいです。

近くの学校の生徒さんたちが 来たこともあったのかも。

昔は稼働していましたが、 現在は閉館。

天文台は土地購入者なら 自由にしていいとのことなので 壊すのもまあひとつの手段ですが...

これを見たからには「復活させて欲しい」と 勝手ながら願ってしまいます。

敷地内に自宅や事務所を がっつり建てるにはちょっと狭そう。 タイニーハウスならいけそうかな。

もしくはここに通いやすい近場に 拠点を持つとか。

階段下には車2台分の 駐車スペースがあります。

天文台にぞっこんタイプの方は もう振り切っちゃって、 キャンピングカーを駐車場に停めて 生活は車内で済ます。

なんて妄想したけど、 車高がちょっと合わなさそうかな。

なんにせよ、どうにかこうにかして この天文台を愛で倒す生活を作り上げたい。 そういう方、どこかにいると思うんです。

草が生い茂る中にぽつねんとある天文台。 賑わった時もあったことでしょう。

そんな過去に想いを馳せながら 今の天文台の姿を見ると ちょっと物語性を感じて、 これはこれで惹かれてしまうのですが。

やっぱり、再び 星を愛する人たちに活用されてほしい。

緑深い山と井芹川も近く、 落ち着いた雰囲気のエリアなので 空と自分の世界に没頭して過ごせそうです。

天文坂ニュータウンは、 おそらく日本初の天文台付き分譲地とのこと。

ニッチだけど、ドンピシャで マッチングする人がどこかにいるはず。

あなただけの星空をご購入、 いかがでしょうか。

文・戸田江美

1991年生まれ。デザイナー。おばあちゃんの仕事を継いで荒川区のマンションの大家をしている。落語が好き。@530e

トダビューハイツ 想像建築