この窓の良さだけで
この部屋にいつまでもいられる気がする。
大正から昭和初期には、
表に面した部屋が洋室になっている家が
多く作られたそうです。
一番陽が入る部屋を
美しい形の窓を通して
楽しんでいたのではないか、
と勝手な憶測ですが、
そんなことを思いました。

電気をつけず
あえてこの薄暗い空間を味わいたくなる。
ぼんやり透ける葉っぱの緑もいいな。
窓の表情って大事ですよね。
大正ロマン、ていうと
明るさよりほんのり暗いイメージ。
陰影の美。

上部がパタパタと開閉するタイプなのね、
あぁ、素敵。

洋室2つに和室が1つという
町家造りの平屋。

そして、和室から見ると
建具が和風と洋風両方の表情を持つ、
和洋折衷の町家ときました。
長い年月を経て
こっくりと味わいの増した建具。

玄関へ戻ってみると
洋室へ繋がる引き戸と

台所へ繋がる引き戸。
開く時のカラカラと柔らかい音が
今にも聞こえてきそう。
磨りガラスが
優しく灯りを通してくれそうです。
丁寧に住まわれていたのでしょうか、
木も土間もなかなか綺麗な状態です。

誰もが一度は使ったことがあるような
馴染みのあるお台所の風景。
窓辺には塩などの他に、
クレンザーのボトルやタワシが並んでたりして。

ごはんが出来たら
一段上がった和室のちゃぶ台で食べようか、
洋室のテーブルで食べようか。
和食か洋食かで変えてもいいな。

奥の洋室も、磨りガラスを通して
フローリングにぼわんと
反射する光が優しい。
照明の傘はやっぱりレトロな
アンティークものを選びたい。
洋室の向こうには水回り。

最新ではなくても
ちゃんと綺麗で使いやすくなっていて。

ほら、お風呂場なんて
ぱぁっと明るい水色のタイルで
嬉しくなっちゃうし

トイレは、レトロな玉石の床はそのままで
ウォシュレット付き。

お勝手口を出ると（いいですよねぇ、お勝手口…）こんな感じ。
白い壁と焦げ茶の板張りの
我が家の可愛さに、ニンマリしつつ
お洗濯物干して。
路地裏の風景も、なんだかのどか。

ここ、じつは銀閣寺のすぐ近く。
銀閣寺の北側にひっそり建つ
八神社の鳥居の目の前なのです。
観光地でありつつも、
そこまで賑やかになることはなく

緑豊かな小さな平屋。

ひとりでもふたりでも
暮らすのにちょうど良さそうなサイズに

ほんのり大正ロマンの風情と
品が漂う静かなおうち。
こんな場所のこんなおうちで暮らすだけで
毎日ゆるりと心穏やかに
過ごせそうな気がいたしますよ。
老後でもいいですけれど
若いうちにこういう所で暮らしてみるの、
いいんじゃないかなぁと思うんです。

それでは最後に
最愛の窓を眺めつつ、
名残惜しいですが
おおきに、ほな、さいなら。