ひと目、外観を見ただけで
魂を揺さぶられるような思いでした。
この佇まい。窓や建具のバランス感。

なんとも立派な物件ですが、
三ヶ月間販売して、
買い手が見つからなければ
解体されてしまうそうです……。

この街でずっと、
風景の一部を作ってきたんでしょうね。

事情があって長くは所有できないけれど、
この家の良さがわかる人の手に渡り、
これからも愛され続けてほしい…。
そんなオーナーさんの想いで
買い手を切実に、探しています。

もちろん、中も感動的なんですよ。
期待を裏切らないとはこのこと。
天井も、柱も、すべて。

ゆったりとした床の間もあって。
しつらえのひとつひとつが
堂々としているんです。

縁側だってすごい……
斜めの天井につややかな板の間。
そして月あかりのような照明の先に、

鏡のある小さな飾り棚が。
横にカーブのかかった木の飾りも。
これを個人宅で作ってしまうのか……。

そして振り返るとこちら。
この作り込み具合、料亭のようです。
繊細な工夫にどきどきするんです。

そしてお庭の広さに二度びっくり。
これだけ広ければ、
縁側でのひとときにも
たくさんの彩りがあるのでしょうね。

ここで一旦、間取り図を。
間口が狭く奥に広い「一般的な京町家」
とは違ったつくりです。このことからも、
格の違いがわかるのではないでしょうか。

格子の門をくぐると内玄関があり、

靴脱ぎ石のある、細長い玄関があります。

わ、これなんだ。
斜めの扉、初めて見ました。
この先には台所。

おくどさんのすばらしさに気を取られつつ、
奥に井戸があるのも目を離せない。
現代まで残っていてくれてありがとう…。

はあ、おくどさんの金具まで…。すばらし。

台所の奥にはレトロタイルの水道も。
これこれ。これなんですよね。
あっ、あの小さなドア。好き。

そしてですね、
部屋と部屋とをつなぐ
何気ない廊下でさえも、

一枚板が使われていたりして。
どこを見てもお宝が多すぎて…。
もし解体されてしまうにしても、
部材だけでも残せたりしませんか…。

最後に二階も見ておきましょうか。
さすがは角地のお家です。
二面の窓がすばらしい。

この手摺のたまらんこと……。
小さな丸模様が散る、はかない模様。
外を見るにも、建具を見てしまう。

窓の上には曲がった木。
目を凝らして眺めていくと、
毎日のように発見がありそうですね。

お風呂だけ少し後の時代かしら。
でも床のタイル、かわい。

そして改めて外観に戻ってくると
また一段と素晴らしいんですよね。

この風景、残るといいな。
オーナーさんの想いを紡いでくれる方、
どうか、どうか……。