コロナの流行を経験したからこそ 気づけたことがある。 そんな自分に合う物件に暮らせたなら、 もっと楽しくなりそうですよ。

この家を内見に来た日は ちょうど去年の今頃。 朝からしとしとと雨が降っていたせいで いまいち髪型も決まらないし、 電車を乗り継いでいくのが 面倒にもなって、少し憂鬱だったんだ。 けれど江ノ電に乗り換えて カタコトと鎌倉の町の中を走り、 線路脇の、もりもりした緑の中咲く 色とりどりの紫陽花を見てるうち 気持ちが段々晴れやかになって。

「極楽寺」で降りる頃には、雨も弱まり 可愛らしい木造の駅舎と すぐそばの極楽寺の風情ある佇まい、 わんさか咲く紫陽花の景色に すっかり心奪われて。 雨が似合う町って素敵だな、 と足取りも軽くなってた。

小雨に濡れそぼちながら到着した先は こんもり青々とした木々の中に 白い板張りのおうち。 イギリスかどこかのお庭に迷い込んでしまったかしら、 という錯覚に陥りかけた。 そこにも色づき始めた紫陽花が咲いていて 白い壁とのコントラストが とっても素敵だった。

格子窓付き両開きの玄関ドア！ それに、赤い煉瓦の床、真っ白な壁に すずらんみたいなアンティークのランプ、 悶絶級の可愛さ。 長靴姿に傘を持ったまま 思わず踊りだしたくなって。 「シェルブールの雨傘」の カトリーヌ・ドヌーブが立っていてもおかしくない。

となると、夫には、ここに 素敵なハットとトレンチコートでも 掛けて欲しいところだわ。 ペンダントライトもいちいち可愛いし 窓の向こうにも緑が見えて素敵。

玄関前はこんなにゆったりしてて、 焦げ茶色のフローリングが 空間をグッと引き締めてる。

一階にサニタリースペースが 集結していて

洗面所やトイレの蛇口はなんとゴールド。 焦げ茶色の楕円のミラーとランプから 気品が溢れてる。 これまた女優さんが使っていても おかしくない風情が漂う。

ねぇ、こんな素敵なお風呂場見たことある？ 真鍮のようなゴールドのバー、シャワーヘッド。 どこかの洋館にでもありそうなお風呂。 優雅な入浴タイムが過ごせそう。

玄関と1階の水回りだけでも 相当テンションが上がってしまって 大変だった、あの日。

住み始めてもうすぐ1年になる。 この数ヶ月はあちこち出かけることもできず STAYHOMEの日々の中、 私はキッチンで、 せっせと果実酒やジャムやらピクルスやら 作るのにハマってしまい カラフルな瓶詰めがズラリ並んでる。 海外ドラマに出てきそうな コの字型キッチンは動きやすい上に 収納も沢山。 うつわ熱が再燃して 好きな作家さんの食器を買い足したりもした。

テレワークになった夫は ベッドルームのベッド横、 窓の下に、いそいそとテーブルを 置いて仕事に励んでた。

時々ベランダに出て体を動かしたり デッキチェアに座っては ゆったり珈琲を飲んだりしてて。 あ〜快適すぎてもう会社に戻れないかも… なんて呟いてた。

運動不足と、明らかな食べ過ぎに 焦った私たち。 ジムなんて無縁だった夫も これを機に、とマシンを2つも購入して せっせと3階のロフトへ運んだ。 私は数年眠ってたヨガマットと記憶を 引っ張りだして、ヨガを。 話題になってたフィットネス動画を 時々2人で、見よう見まねでやってみるものの なんか動きがおかしくて ゲラゲラ笑い転げて。

夫がキッチンに立つ回数が増えたのは 今回良かったことのひとつ。 角煮やカレー作りの腕を上げ、 美味しいトマトソースを作ってピザを焼いてくれたり 休日は昼からワイン、なんてことも。 日に日に濃くなる木々の緑を リビングの窓から見ながら いつまでおこもり生活なのかねぇ、 なんて話しつつも あまり気が滅入ることはなかったな。

梅雨に入って少しづつ戻ってきた日常。 咲き始めた玄関先の 紫陽花の色も濃くなってきて 季節が巡ってきたことを実感する。 あ、カタツムリのにおいだ、と言う夫。

近くの美味しいベーグル屋さんや パン屋さんに寄ったり ふわふわパンケーキが有名な古民家カフェにも 久しぶりに入ってみたり 由比ヶ浜海岸まで散歩したり。 前ほどの人手はまだないけれど、 少しづつ日常が戻るのが どこか惜しかったのも本当。

家で過ごす時間は楽しくて わりと穏やかな気持ちでいられたのは 家の居心地の良さはもちろん、 季節を感じられる自然が 豊かなおかげだったとも思う。 「あ〜明日からの週5通勤、イメトレしなきゃ！」と 頭を抱える夫。 「なんか寂しいなぁ」という言葉を グッと飲み込んで、線路脇に立ち 江ノ電を2本見送って、帰路についた。

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湘南で新生活、始めませんか。 鉢植えが並ぶ緑のテラス