ここから始まる、私の上京ストーリー
この物件は現在は募集終了している可能性が高いです。過去物件のアーカイブとしてお楽しみ下さい。
自然の中ですくすく育った私。
山も川も虫も風も友達で、
ずっとここで生きていくと、
小さいころは思っていた。
それでも、一歩踏み出した。
「東京に行きたいんだ！」って、
泣きながら両親を説得して。
やりたい夢があったから、
私、故郷を飛び出した。
「おしゃれなカフェが多い」と
SNSで見たそれだけの情報で、
目黒区で探した小さなアパート。
スマートでおしゃれな
新築マンションをたくさん見ても、
なんだかしっくりこなくって。
「私、東京向いてないのかな」と
くじけそうになったときに、
このお家と出会った。
青色の瓦も、緑色のタイルも、
うちの実家とそっくりで。
お父さんが勝手に選んで、
わたしが「オレンジがよかったのに！」と
ぷりぷり怒った緑色の渋いタイル。
見た瞬間にすっごく安心して、
「東京にもちゃんと居場所はあるよ」って、
家族に言ってもらえた気がしたの。
荷物を運んでもらうのもタダじゃないから、
うんうん唸って選び抜いた精鋭たち。
実家よりは、そりゃあ狭くなったけど。
今の身軽な私にはぴったりだなと思った。
お部屋に入った瞬間に、
不動産屋の人に言ったの。
「私、ここにします」って。
柱や天井に使われた木。
窓から見える緑。
すりガラスから透ける、
やさしい太陽の光。
生まれ育った場所からは、
うんと遠くに来たのに。
子どものころから
ずっとそばにあった空気感が、
このお部屋には満ちていた。
慣れない電車にぐったりして、
体がガチガチに固まっていた。
上手に人を避けられなくて、
ぶつかって、もみくちゃにされて。
クッと息が詰まった感じがした。
この家の天井は高い。
ぼーっと上を見上げていたら、
東京に来て初めて、
大きく息ができた気がしたの。
すぅはぁって、自然に。
肩の力が抜けた私に、
「天井が抜かれているから、
高さが3ｍ以上あるんですよ」って
不動産屋の人が教えてくれた。
「ライティングレールもあるから、
お好きなところに照明を
移動できますよ」って言われたけど、
最初は意味がわからなかったな。
ライティングレールなんて
そんな垢抜けた単語、
我が家では出なかったもの。
はぁ、ライティング…？って
口をぽかんと空けていたら、
「まぁ、照明は固定して、
植物を吊るすのもいいですね」って
アドバイスをくれた。
住み始めて数ヶ月、
今のところまだなーんにも
吊るしてはいないんだけど。
生活が落ち着いたら、
チャレンジしてみようかな。
きっと元々、ここは
押入れだったんじゃないかな。
奥行きがたっぷりで、
実家の押入れと似てるから。
お気に入りの洋服やバッグを
たくさん収納しようと思っていたのに、
お母さんから届いた防災グッズや
お父さんから届いたはんてんが、
ものすごくスペースを取っている。
もう子どもじゃないのに、
心配しすぎなんだよなぁ。
おしゃれな部屋着を買うぞ！と
意気込んでいたのに、
結局寒くなってきたら、
モコモコのはんてんを着ちゃうんだろうな。
社会人って大変だ。
仕事を始めて、すごく思う。
どれだけ仕事で疲れていても、
自分でご飯をせっせと
用意しなくちゃいけないなんて。
そんな私の悩みを見越してか、
お母さんからの荷物に入っていた、
「☆母直伝レシピノート☆」。
・野菜を切って煮てポン酢で食べる！
・冷ご飯をお水と白だしで雑炊に！
・小腹が減ったらきゅうりをかじる！
いやいや、レシピじゃないじゃん！って、
最初は突っ込みたくなったけど。
今ならわかるよ、お母さん。
白だしとポン酢は偉大ですね。
あとめんつゆも。
実家暮らしのときから
お風呂が面倒で、
サッとシャワーで済ませていた。
「ちゃんとあったまりなさーい！」って
お母さんに怒られていたけど、
ここでは小言は聞こえないもんね。
たまに浴槽に浸かりたいときは、
銭湯に行くから平気だもん。
びっくりしたのは、
トイレのタイルが、
実家のお風呂のタイルと
それはもう似ていたこと。
細かなところで合わせてくる。
もしかしてこの物件、
本当にお父さんが
タイルを選んだんじゃないの？
便器が冷たいと
心臓がひえってなるから、
かわいい便座シートを貼ってる。
おしゃれなインテリアショップで
買ったものだよ、いいでしょう。
窓から見える背の高いマンションが、
「あぁ、都会に住んでるぜ…」って
ニヤリとしちゃうポイント。
手前にあるわさっとした木が、
天狗になりそうな私をたしなめてくる。
わかってるよ、元気な木め。
そのままムクムク育ちなさいよ。
表札に星やハートを書いて
お母さんに写真を送ったら、
「かわいい私の娘がひとりで住んでるって
周りにバレたらどうするの！」って、
怒ってるのか褒めてるのか
よくわからないことを言われた。
仕方ないから、苗字だけの
表札に書きなおしたけど…。
かわいい私の娘、だって。
お父さん、お母さん、
大丈夫だから心配しないで。
私は元気でやってるよ。
これからもきっと、
楽しいことがいっぱいあると思うの。
そりゃあ泣くこともあるだろうけど、
そしたらすぐに電話するから。
「なに泣いてんの」って呆れながら、
ちゃんと娘をなぐさめてね。
山も川も虫も風も友達で、
ずっとここで生きていくと、
小さいころは思っていた。
それでも、一歩踏み出した。
「東京に行きたいんだ！」って、
泣きながら両親を説得して。
やりたい夢があったから、
私、故郷を飛び出した。
「おしゃれなカフェが多い」と
SNSで見たそれだけの情報で、
目黒区で探した小さなアパート。
スマートでおしゃれな
新築マンションをたくさん見ても、
なんだかしっくりこなくって。
「私、東京向いてないのかな」と
くじけそうになったときに、
このお家と出会った。
青色の瓦も、緑色のタイルも、
うちの実家とそっくりで。
お父さんが勝手に選んで、
わたしが「オレンジがよかったのに！」と
ぷりぷり怒った緑色の渋いタイル。
見た瞬間にすっごく安心して、
「東京にもちゃんと居場所はあるよ」って、
家族に言ってもらえた気がしたの。
荷物を運んでもらうのもタダじゃないから、
うんうん唸って選び抜いた精鋭たち。
実家よりは、そりゃあ狭くなったけど。
今の身軽な私にはぴったりだなと思った。
お部屋に入った瞬間に、
不動産屋の人に言ったの。
「私、ここにします」って。
柱や天井に使われた木。
窓から見える緑。
すりガラスから透ける、
やさしい太陽の光。
生まれ育った場所からは、
うんと遠くに来たのに。
子どものころから
ずっとそばにあった空気感が、
このお部屋には満ちていた。
慣れない電車にぐったりして、
体がガチガチに固まっていた。
上手に人を避けられなくて、
ぶつかって、もみくちゃにされて。
クッと息が詰まった感じがした。
この家の天井は高い。
ぼーっと上を見上げていたら、
東京に来て初めて、
大きく息ができた気がしたの。
すぅはぁって、自然に。
肩の力が抜けた私に、
「天井が抜かれているから、
高さが3ｍ以上あるんですよ」って
不動産屋の人が教えてくれた。
「ライティングレールもあるから、
お好きなところに照明を
移動できますよ」って言われたけど、
最初は意味がわからなかったな。
ライティングレールなんて
そんな垢抜けた単語、
我が家では出なかったもの。
はぁ、ライティング…？って
口をぽかんと空けていたら、
「まぁ、照明は固定して、
植物を吊るすのもいいですね」って
アドバイスをくれた。
住み始めて数ヶ月、
今のところまだなーんにも
吊るしてはいないんだけど。
生活が落ち着いたら、
チャレンジしてみようかな。
きっと元々、ここは
押入れだったんじゃないかな。
奥行きがたっぷりで、
実家の押入れと似てるから。
お気に入りの洋服やバッグを
たくさん収納しようと思っていたのに、
お母さんから届いた防災グッズや
お父さんから届いたはんてんが、
ものすごくスペースを取っている。
もう子どもじゃないのに、
心配しすぎなんだよなぁ。
おしゃれな部屋着を買うぞ！と
意気込んでいたのに、
結局寒くなってきたら、
モコモコのはんてんを着ちゃうんだろうな。
社会人って大変だ。
仕事を始めて、すごく思う。
どれだけ仕事で疲れていても、
自分でご飯をせっせと
用意しなくちゃいけないなんて。
そんな私の悩みを見越してか、
お母さんからの荷物に入っていた、
「☆母直伝レシピノート☆」。
・野菜を切って煮てポン酢で食べる！
・冷ご飯をお水と白だしで雑炊に！
・小腹が減ったらきゅうりをかじる！
いやいや、レシピじゃないじゃん！って、
最初は突っ込みたくなったけど。
今ならわかるよ、お母さん。
白だしとポン酢は偉大ですね。
あとめんつゆも。
実家暮らしのときから
お風呂が面倒で、
サッとシャワーで済ませていた。
「ちゃんとあったまりなさーい！」って
お母さんに怒られていたけど、
ここでは小言は聞こえないもんね。
たまに浴槽に浸かりたいときは、
銭湯に行くから平気だもん。
びっくりしたのは、
トイレのタイルが、
実家のお風呂のタイルと
それはもう似ていたこと。
細かなところで合わせてくる。
もしかしてこの物件、
本当にお父さんが
タイルを選んだんじゃないの？
便器が冷たいと
心臓がひえってなるから、
かわいい便座シートを貼ってる。
おしゃれなインテリアショップで
買ったものだよ、いいでしょう。
窓から見える背の高いマンションが、
「あぁ、都会に住んでるぜ…」って
ニヤリとしちゃうポイント。
手前にあるわさっとした木が、
天狗になりそうな私をたしなめてくる。
わかってるよ、元気な木め。
そのままムクムク育ちなさいよ。
表札に星やハートを書いて
お母さんに写真を送ったら、
「かわいい私の娘がひとりで住んでるって
周りにバレたらどうするの！」って、
怒ってるのか褒めてるのか
よくわからないことを言われた。
仕方ないから、苗字だけの
表札に書きなおしたけど…。
かわいい私の娘、だって。
お父さん、お母さん、
大丈夫だから心配しないで。
私は元気でやってるよ。
これからもきっと、
楽しいことがいっぱいあると思うの。
そりゃあ泣くこともあるだろうけど、
そしたらすぐに電話するから。
「なに泣いてんの」って呆れながら、
ちゃんと娘をなぐさめてね。
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