なめらかな無垢材の床に、 どっしりした土間とモルタル壁。 四角く切り取られた窓の向こうでは、 豊かな木々が風に揺られて サワサワと葉の音を鳴らしています。

こんもりとした山に囲まれ、 まるでちょっとした冒険気分。 春夏秋冬、いろいろな表情を 見せてくれることでしょう。

秋には柿の木が実をつけ、 鮮やかなだいだい色が 暮らしに彩りを添えてくれます。 きっと紅葉も見事でしょうね。

さて、ここがどこかというと、 場所は兵庫県神戸市の平野エリア。 兵庫県道15号神戸三田線の別称である 「有馬街道」の坂道を ずんずんと上ったところに、 今回ご紹介する物件はあります。

この辺りはかつて 「天王谷超え」と呼ばれ、 川を飛び石伝いに渡らなければ 通れない難所も多かったそう。 もちろん、今はしっかりと道が 整備されているのでご安心を。

とはいえ奥地にありますので、 お出かけの際は徒歩より バスを利用したほうが安心かな。 近くには駐車場もあるそうなので、 車移動の方もご心配なくです。

今回募集されているのは、 2023年11月にリノベ済みの スッキリとしたワンルーム。 お部屋に足を踏み入れると まずは7.5帖の土間があり、 奥には6帖のリビングダイニング、 キッチンが続いています。 ながーいベランダもありますよ。

うむ、外観とのギャップがいい……。 センスのいいこの空間、 住居に加えてアトリエとして 活用するのもいいかもしれない。 洗練された空気に刺激され、 クリエイティブな発想が ふわりと浮かんできそうです。

クールなモルタルの壁に、 あたたかみのある 木製のルーバーの建具。 キリッとした空気の中に どこかほっこりさがあるから、 肩に力が入りすぎない 絶妙な穏やかさが出るのかな。

アーチの開口も、すてきでしょ。 ゆるやかな曲線にうっとりです。

アーチの奥には シンプルな洗面台と、

静かな光に照らされた トイレがありました。 光は入ってくるけれど、 大きすぎない窓がいい。 本を読みながらついつい 長居しちゃいそうなトイレだ。

観葉植物を置いても、きっと さらに魅力的なお部屋になること 間違いなしでしょうけど、

まぁ、ないならないで、大丈夫かな。 窓の外に視線を向ければ、 これでもかというほどの緑が 毎日挨拶してくれていますしね。 山を通り抜けた風がお部屋に ふーっと入ってくる様子を想像すると、 それだけで心が癒されていくよう。

うれしいな、木製の造作キッチン。 どこも手を抜かず、しっかりと お部屋の統一感を考えてくれている。

味わいのある塗り壁にも、 グッと気持ちを掴まれちゃうね。 左官仕上げのキッチンだなんて 賃貸ではなかなか珍しいかも。 食パンとコーヒーだけの朝食も、 このキッチンのおしゃれな雰囲気を トッピングすればそれだけで 満足度がグッと上がるというもの。

お風呂は改修されておらず コンパクトな浴槽のままですが、 くすんだ桃色タイルがキュートでしょ。 お湯に浸かる際は、体をちんまりと 丸めて入ってくださいな。

あ！　体を丸めるといえば…… こちらのワンルーム、 ペットちゃんもOKでございます。 もしネコちゃんと一緒に暮らすなら、 ぜひまんまる上手なネコちゃんを 見習いつつ、バスタイムを楽しんで。

ひょいとベランダに出ると、 さらに木々が目の前にきます。 建物に視界が遮られることなく、 どーんと広がるのは木と空だけ。 いいですねぇ、深呼吸したくなる。

ちなみに屋上もあるのですが、 階段の老朽化により使用は不可。 ちょっぴり残念ですけれど、 スーッと伸びた坂の上の建物ですもの。 屋上に上がらずとも空は近いでしょう。

物件が建つ平野エリアの山裾には、 おもしろい人やスポットが 徐々に集まりつつあるそうですよ。 思い切って、移住した人同士で イベントや企画を考えてみるのも ワクワクな思い出になりそうです。

まぁ、ひとり自然を感じながら ただただ静かに暮らすのも、 たまらない贅沢じゃないかなと 個人的には思うのですけどね。

どんな暮らしが始まるだろう。 絵を描いたり、本を書いたり、 はたまた映像を撮ってみたり？ 自分の心と向き合いながら 創作活動をする方たちにも、 ぴったりなお部屋だなぁと思います。

文・くまのなな 東京都在住のフリーライター。散歩中におうちの外観をつい見てしまう。 @kmn_nana