以前、物件ファンで 見学会のお知らせをした 建築家・菊竹清訓氏の「旧館林市庁舎」。

なんとこのたび、この建物内で テナントを募集するそうです。 名建築のもとで新しいあきないを 始める、またとないチャンスですよ！

菊竹清訓氏は 「スカイハウス」「島根県立美術館」 などの作品を世に送り出した 言わずと知れた大建築家です。 生物が新陳代謝（メタボリズム）を するかのように、建築や都市が 有機的に変化していく メタボリズム建築の考え方は、 今回ご紹介する「旧館林市庁舎」にも 反映されています。

キャンチレバーで持ち出された床は、 メタボリズムによる未来の フロア拡張をそのまま体現しています。 特徴的な建物四隅の巨大な柱と その柱に支えられたスラブには、 「これからは市民と行政が信頼しあい 支え合う関係でなければならない」 という想いを表現しているのだそう。

最上階に設けられた議場も 市民と行政が相互に見通しが 利くようにとの願いが 込められています。 菊竹氏の建築や行政に対する思想が そのまま形になった 建物と言えるのかもしれません。

今回レンタルできるのは1階南側の こちらのスペースです。 エントランスからも近く、 見通しの良いエリアというのも うれしいポイント。

窓際のカウンター席は 日の光を浴びながらぼんやりと くつろげそうなすてきな空間。 長いテーブル席は ワークショップなどのイベントにも 利用できそうですね。 什器などはそのまま 借りられるものもあるそうなので ぜひ相談してみてください。

モルタル調のワークトップに ステンレスの天井がスタイリッシュな カウンター内部。 ミニマルにまとめ上げたインテリアも 建物の雰囲気によくマッチしています。

店舗も入居できるそうですが、 せっかく素晴らしいカウンターが あるので、カフェや軽食を出す 飲食店などもよさそうですね。 この空間でおいしいコーヒーを 楽しめるとなれば、 ちょっと遠くからでも足を伸ばす 建築ファンもいるかもしれません。

「柱は空間に場を与え、 床は空間を規定する」という 菊竹氏の言葉の通り、 特に線が引かれているわけでは ないのですが、 この柱のラインの前後で 空間がなんとなくわかれているような 気もします。

例えば柱の奥側はソファや ローテーブルを置いて、 ゆったりとくつろげるスペースに、 柱の手前側はスツールなどを置いて さっとコーヒーを 楽しめるスペースにするなど、 柱を拠り所にしたレイアウトを 考えてみるのも面白そうですね。

もともとの市庁舎から用途が変わり、 それを使う人々も変わりながら、 地域に愛され活用されるその様子は、 まさに新陳代謝を繰り返しながら 生きている生物そのもの。 建物を有効活用しながら 次世代へ継承していく、 そんな活動に あなたも参加してみませんか？

【面積】60.5㎡ 【活動協力金または使用負担金】毎月6万円

【TBRIについて】 TBRIは、菊竹清訓氏の設計によるメタボリズム建築の建物のひとつである「旧館林市庁舎」（館林市民センター）を最大限に利活用し、その価値をより多くの人々、とくに館林市民に知ってもらうことにより、旧館林市庁舎を後世に残すことを目的としています。

文・佐藤シュン 浜松で設計事務所をやりながら、黒猫と暮らしています。