桜の名所としても知られる、
京都、哲学の道。

銀閣寺の南に位置するこの周辺は
その知的な名前に相応しく
落ち着いた雰囲気が漂い、

様々な木々が
四季折々の美しい表情を楽しませてれます。
歩いているだけで、心が凪いでいくようです。

その哲学の道から程近い、
高台に建つ、こちらの家。
山を背にし、遮るもののないロケーション。

出迎えてくれる立派な植栽と石段、
この様子だけで
長く大切に住まわれてきたことが伺えます。

玄関に辿り着く前に、圧倒されてしまう…
後ろの山と一体化したような庭園に、
朱色の小さな橋…！

そして、玄関の佇まいを見て、
これは良い家だ、と確信するのでした。
サイディングではない、
緑がかった天然の石のタイルに
美しい木目の木の扉。
左の木枠の窓にもときめきが止まらないし、
よく見ると奥の雨戸とその周りの意匠も
とても美しく凝っています。

部屋数の多い、ゆったりとしたつくりは
まさに「邸宅」と呼びたくなります。

玄関から一歩入り迎えてくれる、
広々した玄関ホールの端正な表情、
これぞ、ゆとりというものだ…
と、思わず溜息。
光の入り加減が美しいですね。

入って左手にある、6帖の洋室。
玄関手前に見えた、
木枠の窓の部屋なのですが、

こここそ、この家の顔と言っても
過言ではありません。
三面を窓に囲まれ、庭、そして

京都市内を一望することができる
何とも、贅沢すぎるお部屋。

応接間として使われてきたのでしょうか、
重厚な石の壁に、暖炉風のスペース。
向こうにスッと伸びる階段も
アクセントになっています。

玄関ホールの右手には
庭に面してたっぷりした縁側があり
（ここが部屋でもいいくらい…）、

和室と洋室が一間ずつ。
客間にしても良さそうです。

一階奥にキッチンがあり、

その隣がまた景色を一望できる
レトロモダンな明るい洋室。
絶景を楽しむための、大きな窓。
普段使いの家族のリビング、
といったところでしょうか。
高台にあるので、プライベート性が高く
外からの視線が気にならないのも
ポイントです。

間取りを見ると、二階への階段が
二箇所あるんですね。
メインの階段の先は
主寝室となりそうな部屋と

小さな和室があります。
こもって書き物などするには
もってこいな場所ではないでしょうか。

静かに絶景を楽しむことができる、
小さな部屋、幸せだな…。

台所側からの階段は、
家事動線を考えてのことなのか、
ベランダへと繋がります。

そして洋室が二間。
レトロな型板ガラスの黒い仕切り戸が
存在感があってかっこいい。

昭和30年代に建てられ
築60年超えながらも、

あまり古さを感じないのは、
施主さんのこだわり、そして
その時代の職人さんの技のおかげでしょうか。

快適さと住みやすさのために
手が加えられつつも、
古き良きものもきちんと残され
趣のある住まいに。

あちこちから差し込む光が
美しく、ドラマチック。

造園職人によって手入れされてきた
庭木はイキイキとし、

晴れの日も、しっとり雨の日も
目を楽しませてくれます。

ジリジリと眩しくて、
つい遮ってしまうこともある西陽。

何となく郷愁を覚える時刻が
この家では、部屋も庭も、
窓からの眺めも、最も美しく
艶やかかもしれない。

夕焼けで飴色に染まる部屋で
一日の終わりをゆっくり過ごす。
大人だからこそわかる醍醐味、
幸福な時間なのではと思います。
こんな家を持てる大人になりたいものです…。