場所は、京都市上京区。 天神さんの愛称で親しまれる 北野天満宮のすぐそば。 静かでおだやかな暮らしが 始まりそうな住まいです。

菅原道真を祀る北野天満宮は、 見事な梅苑があることでも有名。 道真公ゆかりの梅が約1,500本あり、 花の時期には境内全体で 紅白の梅が上品に咲き誇ります。

今回ご紹介する物件も、あちこちに 梅を感じられる工夫がなされています。

ふわりとかわいい桜もすきだけど、 どこかキリッとした梅の花もだいすきだ。

物件の西に位置する北野天満宮は、 てくてく歩いて3分ほどで到着。 毎年梅の時期が楽しみになりそうだな。 ちなみに、最寄駅からは徒歩12分です。

余談ですが、梅苑の帰り道に 梅のお菓子が食べたくなるのは あるあるなのかな、どうでしょうか。

室内は、2024年5月に フルリノベーション済みです。

奥に向かってスーッと縦一列に 部屋がならぶ造りはそのままに、 暮らしやすい工夫が 取り入れられています。

室内に入ると、さっそく梅の気配。

ほら、かわいらしい子がいましたよ。 玄関横の和室の、からかみ襖。

ころんとした姿が愛らしい 大小梅の丸の文様が、 窓から差し込むやさしい光を ゆったりとした表情で浴びています。

いいですねぇ。春夏秋冬、 いつだってここは梅の季節だ。

和室は二間続きになっていて、 その奥にリビングや坪庭があります。

わかりやすく、少し引いた角度でも。 リビングとキッチンの床面の高さは、 和室よりも１段下げた造りです。 たとえば和室には入らずに 玄関からサクッとキッチンへ進んで、 そこからリビングに向かうこともできます。

和室の横を、スススーッとね。 キッチン横の和室は、暮らしの中で なにかと重宝しそうな予感です。

和室にある水屋箪笥（たんす）は、 なんと物件価格に含まれています。 京都のお茶屋さんに箪笥を卸していた 指物師さんの手で、明治～大正時代に 作られたものだそうで…… どっしりと趣深い姿に惚れ惚れです。

こんなふうに和室の扉を 締め切ることもできるので、 お客さまがいらしたときも安心かな。 ササッと目隠しできちゃいますよ。

リビングの奥に見えるのが、坪庭。

過去の増築により、 坪庭がある北側奥は かつて暗く閉ざされていたそうで。 思い切って物件の一部を減築して、 新たなスペースに坪庭を作ったそうですよ。

坪庭の手前には、白梅の木。 日中に梅の花を愛でるのもいいけれど、 この坪庭はしっとりとした夜も似合いそう。 控えめな印象の上品な坪庭で、 どちらからともなく愛する人と寄り添ってさ。 静かな夜に梅の花を添えたら、 いつもは言葉にできない感謝や愛情も 相手に伝えられそうではないですか。

さてさて、室内に戻りまして。

1階のリビングからはトイレ、 洗面台とバスルームに行けます。

洗面脱衣室の鏡には工夫があり、 手前に開けられるようになっています。 鏡を手前に開けると、鏡の後ろの窓から 光がパッと射してくれるのですって。

それでは、お次は2階にまいりましょう。

2階には和室がひとつ、洋室がひとつ。 和室にはバルコニーも付いています。

わぁ、なんて美しい建具…… 和室と洋室のそれぞれの入口には、 味わいのある古建具が使われています。 透かし彫りの帯にうっとりしながら 扉をスーッと開けまして、

こちら、6帖の和室です。 もともとの床の間を、あえて 残してくれているのがうれしいな。

こちらの和室でも、天神さんにちなみ 梅があしらわれた襖が使われています。 あちこちに梅の花、なんだかふわりと 香りまで感じられそうな気がしてきます。

9.1帖の洋室は、リノベーションの 喜びを詰め込んだような出来栄え！ あわい色のさらりとしたフローリングに、 色味の違うたっぷりのオープン棚。 寝室としても、書斎としても、 居心地のいい場所になってくれそうだ。

それでは早いもので、お別れです。 最後にもう一度、坪庭の写真をどうぞ。 約束はしないでいいんだ、野暮だしね。 ただただ愛するパートナーと、 自然にこの坪庭で語らえたらいいなぁって。 無言の時間が続いても、それはそれで 雅な時間の使い方だと思うのですよね。

文・くまのなな 東京都在住のフリーライター。散歩中におうちの外観をつい見てしまう。最近はInstagramかThreadsによくいます。 @kmn_nana