ぱっと見、鉄筋コンクリートの デザイナーズマンションかな？ って思うでしょ。 驚くなかれ、いや、驚いて！ こちら、70年以上前に建てられた 元市営住宅。しかも、全国でも唯一と 考えられる石造りの建物。 以前この記事でもご紹介した 旧宮塚町住宅に空きが出ましたよ。

石材は国会議事堂にも使用された 石川県小松市産の日華石。 黄色がかった褐色で加工がしやすく 建築に温もりと優雅さを与えています。 石造りとなった理由としては、 建てられた昭和20年代後半当時の セメント不足に対する試行策として 外壁に石材を用いたためではないかと 推測されています。

内装の老朽化や間取りが現代の生活に 合わなくなったこともあり、2017年に 市営住宅としての役目は終えましたが 国指定重要文化財でもある稀少な この建物を、現在は「女性活躍」と 「地域の情報発信の場」として 活用しているのだそうです。

すでに入居されているのは、 革製品、ガラス、スーツ、家具、陶芸など ものづくり作家のアトリエ＆ショップ。 そして関西屈指の紅茶専門店 Tea Saloon MUSICAも！

新たな役割を受け、にぎわいを 生み出す人気のこちら。 今回募集しているのは、2階の 赤いラインで囲まれたお部屋です。

面積は36.50㎡。 畳に換算すると約20帖ほど。

南北に窓があり、 光と風が通り抜けます。 配線パイプとダクトレールがめぐる 現わしになった天井が、 かっこいいこと、この上ない。

白い塗装と床のフロアタイルが レトロな雰囲気をより盛り立てていて、 それも素敵。 写真の内装は居抜き状態で、 このまま使えるとのことです。

大きな窓からは、敷地内の豊かな グリーンが望めます。 お仕事や作業の合間に ふと緑の景色が目に入るのは、 とてもいいですね。

小ぶりのキッチンもあるので、 お茶出しや、水が必要な作業にも 困らなさそう。

なんというか、いい物件は写真のように、 物が雑然としていても不思議と かっこよく見えるものなのですね。 ここにテイストを揃えた お好みの家具を合わせたら、 どんなにおしゃれになることやら…。 想像するだけで うっとりしてしまいます。

キッチン横に扉がありましたが、 出入りする玄関はこちらのようです。 コンクリートの三和土に 頭上には、まあるいライトが灯ります。

こちら、建築当時から残る 真鍮製の照明なんですって。 よくぞ残っていてくれましたね。

室内の建具は新しいものに なっていました。 木製の扉は、これからも経年と共に 味わいを増していきそう。 右が収納、左はトイレ。

ああ、この団地感が凝縮された トイレの素晴らしいこと！ 時代を感じる窓に小さな手洗い、 配管やでこぼこのある壁…。 この風情は新築では なかなか作れませんよ。

こちらは2025年9月末までの 定期借家契約になります。 スタートアップの事務所や、期間限定の ポップアップなどに良さそう。 センスあふれる職場になりそうですね。

最寄りのJR芦屋駅からは徒歩6分。 阪神本線の芦屋駅や阪急神戸線の 芦屋川駅からも徒歩圏内。

マンションが建ち並ぶ住宅街の中に ひょっこりと現れ、モッコウバラの アーチが出迎えてくれます。

そうそう、敷地内の広場では定期的に イベントやワークショップも行われており、 地域交流の場としても 活用されています。

敷地内には農薬を使用せず 有機肥料のみで栽培されている シェア農園もあるんですって。

まちなかで、こんなにも色々な意味で 豊かな場所は珍しいと思います。 すばらしい！

建物の良さはもちろんのこと、 地域交流のハブ的存在になりつつあり 広いつながりと、なにか面白いことが できそうな魅力が詰まっている 場所です。

募集されているのは事業用のみで 入居には審査があります。 起業を目指す事業者や女性の起業家は 優先的に選考されるとのこと。 くわしくは掲載元の神戸R不動産のHPで ご確認くださいね。

予約制のオープンハウスも あるようですよ。

【予約制オープンハウス開催】〈要予約〉 5月18日（土）13:00〜16:00 ※ご予約は神戸R不動産のサイトにて

文・葱山紫蘇子 大阪で娘3人息子1人と暮らす独り身。元劇団維新派役者竹山らいち、元ミニシアター従業員、元介護職。建物と書き出し小説と漫画と毛布のヘリが大好き。 Lit.Link