そんな暮らし、いいなぁって。 紫陽花の時期になるたびに、 あぁもう1年経ったのねって。 隣にいる愛する人と 庭を眺めながら話せたら、 なんて幸せなことでしょうか。

古民家と呼んでいいであろう、 趣たっぷりの純和風建築。 昭和10年に造られた大先輩です。 広い土地にゆったりと建てられ、 部屋数は5K+Sと文句なしの多さ。

暮らしに合わせて リノベーションするのも ワクワクするかと思いますが、 たとえばこの木枠の扉とか……

味わいのある木の天井とか。 残せるものは残して、この家を 住み継ぐことができたら……と ついつい願ってしまいます。

玄関扉の欄間も美しいです。 外からの光に加えて、 オレンジ色の照明がやさしく 明るさをプラスしてくれます。

こんなにも雰囲気に合う照明、 どうやって探し出したんだろう。 きっとこの照明も、家とともに 家族の生活の変化を 静かに見守ってきたのでしょうね。

昔ながらの日本家屋らしく ぐるりとお庭に面しているので、 どのお部屋で過ごしていても みずみずしい緑を堪能できます。

風や光がスルスルと抜けて 気持ちのいい空間だなぁ。 風がそよそよ、光がぽかぽか、 葉のざわめきに、鳥の鳴き声。 想像するだけでホッと力が抜ける。

縁側と言えば……のイメージは 人によって違うのでしょうか。 スイカに、アイスに、晩酌に？ 私なら、たとえばホットミルクとクッキー。 静かな夜に、お庭に足を投げ出してさ。 洋のお菓子を和の空間で、というのも なかなか癖になりそうでしょ。

現在こちらは居住中とのことで、 だからこそお部屋のあちらこちらに 人の手が行き届いています。

お庭もね、丁寧に管理してくださって。

なにも手を入れていない ワイルドな木々たちもいいけれど、 やっぱりこうして整えられた緑は 目の保養になりますよね。

心がじんわり和む和風庭園を、 この先もできれば保ちたいけれど。 ひとりの力じゃ大変ですからね、 プロの手も上手に借りながら ゆるく気張らずいきましょう。

毎年きれいな姿を見せてくれる お馴染みの花が自宅にあるのは、 お庭のない家に住む私としては すごくすごーく！　憧れます。

ただ「きれいだね」だけではなく、 それをきっかけに咲く話もあるでしょ？ 「去年の紫陽花の時期は、 いろいろ大変だったよねぇ」とか、 「私たちもまた一年歳をとったねぇ」とか。

年月の流れをお庭から 教えてもらう生活というのは、 とても豊かだなぁと思うんです。 花と一緒に、家と一緒に、 ひとつずつ歳を重ねていけたらさ。 私たち人間だって、どんどん 魅力が増していくんじゃないかな。

文・くまのなな 東京都在住のフリーライター。散歩中におうちの外観をつい見てしまう。最近はInstagramのストーリーによくいます。 @kmn_nana