朝、障子越しの光で目を覚まし、 子どもが先に起きて縁側へ向かう音がする。 カーテンを開けなくても、 一日が始まったことがちゃんとわかる。 家族の気配が自然と重なり合う 平屋が横須賀にありました。

4DK、全室和室。 続き間もあれば、独立したお部屋も。 それぞれの部屋を持ちながら、 どこかで必ず家族の存在を 感じられるつくりです。

この家で、まず目を引くのが縁側。 艶のある板張りで、素足が気持ちいい。 ここは、 子どもが目一杯走り回る場所でもあり 大人がちょっと一息つくための 場所でもあります。 その存在だけで和ませてくれる、 魅力的な余白です。

縁側の先にはウッドデッキ。 庭に降りなくても、 外の空気をしっかり感じられます。 子どもはデッキで遊び、 大人は縁側からその様子を眺める。 視線が届く距離感が 子育て中にはありがたい。

子どもたちが寝た後は 大人だけの晩酌タイム なんていうのも憧れるな。

個室は4つ、すべて和室。 ダイニングの隣は団らんの場に。

主寝室に子ども部屋。 遊び部屋や客間として使える一室。

和室だからこそ 布団を片付ければ、 空間はすぐに切り替わる。 子どもの成長に合わせて、 部屋の役割も、無理なく変えていけます。

ダイニングキッチンは、 印象がガラリと変わりモダンな雰囲気に。 黒を基調としたキッチンが空間を引き締め、 朝ごはんも夕飯の支度も、 気持ちよくこなせそう。 スタイリッシュな ダイニングセットを置いて 他の空間が纏う和の雰囲気との メリハリをつけるのも楽しいかも。

洗面台は、空間全体を きゅっと引き締める佇まい。 黒を基調としたカウンターの上に、 陶芸作品のようなボウルが、 ぽんと置かれています。 作り込みすぎず、 でも生活感に流されない。 朝のバタバタした時間でも、 ここに立つと気持ちが整う。 そんな洗面です。 お風呂もゆったりサイズ。 一日の終わりに、 家族それぞれが 気持ちを切り替えられる場所。

この家はSOHO利用も可能。 「仕事部屋を作る」というより、 暮らしの延長に 仕事があるという感覚がしっくりきます。 障子越しに入る光、 静かな和室、 家族の気配を感じながらも 集中できる環境。 仕事と生活を きっちり分けるのではなく、 行き来できるからこそ ふとした瞬間に新しいアイディアが 生まれそうです。

室内には型板ガラスや木製建具など 趣深い昔ながらのディテールが 残されているのもうれしいポイント。 暮らしている間は、 この子たちを愛でて育てる役目を 担うことができます。

周辺は、 ベビーカーでも歩きやすい道が多く、 その日の気分で散歩コースを選べます。

公園へ向かう日もあれば、 商店街でお茶をする日も。

「今日はどこ行く？」が、 無理なく決まる環境です。

子育ては、 頑張りすぎると息切れしてしまうもの。

この平屋は、 家族が自然に集まり、 自然に離れ、 それぞれの時間を尊重できる家でした。

縁側を中心に、 暮らしと仕事、家族と自分。 そのすべてが無理なくつながる。 横須賀で、 そんな日常を始めてみるのも良さそうです。

文・ほしりょうこ 散歩とビールと読書が好きな、元リフォーム屋さん。16年で9回の引越しを経験。もっぱら東京の西側にいます。 @hs_ryk