葉山に残る、見事な大邸宅。 土地面積は驚きの 約2,686㎡です！

実は、昭和に活躍した 三大美人画家ゆかりの邸宅なのですって。

あの人かな……と想像しながら、 お楽しみください。

玄関はふたつあり、 ひとつは茶室用、 もうひとつは居住空間用。

なんと言ってもこの建物、 空間の「間」の美しさが印象的です。

特に、茶室へ向かう渡り廊下。 「茶室は特別な場所である」という 日本的な感覚を、 自然と思い出させてくれます。

茶室の横の廊下で、 ふと天井を見上げると、 池の水面が反射し、 ゆらゆらとした水影が 天井に映り込んでいます。

水影の美しさと 大きな縁側に入るあたたかな陽、 ガラス建具越しに 絵画のように広がる庭園。

どれもじっくりと堪能できる なんて贅沢で計算された建築でしょう。

掘りごたつのある部屋も、 とても居心地がいい。

装飾は最小限なのに、 光と影、素材の質感だけで、 こんなにも豊かな表情が生まれるのか……！

ゆとりのある縁側に椅子を置けば、 いわゆる「サンルーム」的な空間に。

日差しの入り方がやさしく、 目の前に広がるのは広大なお庭。

ただ、ぼんやり座っているだけで 時間がほどけていきます。

障子に使われている和紙は、 無形文化財の手漉き和紙。


光を通したときの柔らかさが、 明らかに違います。


畳は、藁で作った「藁床」。 足裏に伝わる感触も、 どこか懐かしいです。

浴室のタイル張りは、 建てられた当時の意匠を残したまま。 タイルやすりガラスが 愛おしいですねえ。

窓からしっかりと陽が入るので どこにいても明るい印象です。

ゆらめくガラスや 懐かしい家具が残る台所を含め、 水回りは生活するうえでの 機能的な不便さはありません。

敷地は約800坪。 南向きの庭は、 なだらかな傾斜を描きながら、 建物と自然をやさしくつないでいます。

「広い庭」という言葉では 足りないほどの豊かさです。

木製のガラス建具から広がる この風景。 本当に、贅沢。 まるで絵葉書のよう。 深呼吸したくなりますよね。

春には、ソメイヨシノと山桜。

少し奥へ進むと梅林があり、 花が終わるころには実をつけるそう。


季節の移ろいが、 カレンダーではなく、 庭の変化で分かる暮らしが 想像できます。

5月にはツツジ、
クチナシや木蓮。


夏には百日紅が真っ赤に咲き、 沈丁花、椿。


11月には池のそばの紅葉が色づき、 冬にはクリスマスローズ。

敷地内には家庭菜園が3か所あり、 売主様は野菜づくりだけでなく、 養蜂も楽しまれていました。


自然を眺めるものではなく、 きちんと関わるものとして 暮らしてきた痕跡が、 あちこちに残っています。

 敷地内には工房もあり、 庭師さんの休憩所や、 染め物のアトリエとして 使われていたそう。


カースペースも、 余裕があります。

文化財並みの建築。 そしてこんなにも外界と切り離された ゆとりのある敷地と立派なお庭。

今後より一層、 希少になっていくことでしょう。

写真からだけでも 意匠の美しさが かなり伝わってくる建築。

実際に伺ったら、 圧倒されるのでしょうねえ。

ぜひ、ぜひ、 残って欲しい建築です。

文・戸田江美 @530e

1991年生まれ。デザイナー。おばあちゃんの仕事を継いで荒川区のマンションの大家をしている。落語が好き。

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