歴史を感じる赤穂城跡から 川沿いをてくてく。 すると、かつての城下町らしい風景の中に ひときわ存在感のある家があらわれます。

石積みの擁壁の上に、 黒を基調とした母屋と離れ。 瓦屋根の陰影、深い軒先。 静けさと凛々しさが同居する佇まいです。

母屋は、昔ながらの和室が多い間取り。 1階と2階にそれぞれ二間ずつの和室があり、 畳の空気が家全体をやわらかく包みます。

離れは上下ともワンルームの贅沢な空間で、 商いにも趣味にも、使い方は無限です。

さっそく母屋から、中を見てみましょう。

室内へ足を踏み入れた瞬間から、 和室ならではのやわらかな空気。 畳の部屋が続き、 障子越しに光が広がる様子は どこか懐かしく落ち着きます。

寝室や客間はもちろん、 子どもの遊び場、 趣味の部屋としても使いやすい。 普段はひと続きの大きな空間に、 来客時には仕切って個室に。 しなやかに形を変えられるのは、 続き間ならではの心地よさです。

広々としたお部屋を、 思い切ってお好みの内装に リノベするのもあり。 お値打ちな物件だからこそ 想像がふくらみます。

とは言え、 水回りを含めきれいに整っているので すぐに暮らしを始められる 安心感があります。

特にトイレは、 木目の壁が家の雰囲気によくお似合いです。

一方、離れは町家のような趣。

格子や建具が印象的で、 扉を開けると 天井の高さと木のぬくもりが 迎えてくれます。 桐ダンスや季節のしつらいが よく似合いそう。

上下どちらの階も広々としていて、 用途に制限を感じません。 器店や喫茶、アトリエに事務所。 在宅ワークや撮影、 ものづくりの拠点としても 頼もしい存在です。

無垢床に柱、ダイナミックな梁。 何もしなくても雰囲気が出る2階は、 ギャラリーなんかにもぴったり。 1階にカフェ、2階にギャラリー。 おもてなしは和服で…なんて、素敵ですね。

商いでなくたって、 ただただ趣味の空間として。 子どもをのびのび遊ばせる フリースペースとして。 ライフステージによって 使い方を変えることだってできるんです。

母屋と距離をとりつつ、 日常とは別のリズムが持てる暮らしは、 心に余裕をもたらしてくれそう。

庭にはウッドデッキが誂えられ、 外時間も楽しく過ごせます。 コーヒーを淹れて日向ぼっこをしたり、 夕暮れに軽くBBQをしたり。 通りから一段上がった擁壁の上なので、 視線も気になりにくい。 小さな庭でも、開放感はしっかりと。

周辺は飲食店が多く、 JR播州赤穂駅から 城跡へ向かう途中という好立地。 観光客が通る道でもあり、 商いの視点でも魅力があります。 日々の買い物や外食に困らず、 静けさも便利さもそろっている。 城下町らしい、いい距離感です。

母屋と離れ。 ふたつの棟があるということは、 ふたつの日常を持てるということ。 家族で暮らしてもいいし、 ひとりでじっくり楽しんでもいい。 住まいと仕事、子育てと趣味。 どちらかを諦めるのではなく、 ゆるやかに両立できる家なのです。

かつての城下町に暮らしながら、 和を愉しむ。

その贅沢を、ここから始めてみませんか。

文・ほしりょうこ 散歩とビールと読書が好きな、元リフォーム屋さん。16年で9回の引越しを経験。もっぱら東京の西側にいます。 @hs_ryk