アートといっても 絵画やオブジェではなく襖なんです。 襖を閉めたときにだけ立ち現れる やわらかな色で構成された世界。

ああ、なんて美しい…。 作品を手がけたのは、 伝統的な「唐紙」の版画技法を用い、 現代的なデザインの襖や壁紙などを 制作する野田版画工房さん。 もちろん一点物です。

この特別な表具がなじむ 住空間もこだわり尽くし。 まず特筆すべきは立地で、 清水五条から徒歩7分、 六波羅蜜寺にほど近い トンネル路地の奥。

京都らしい情緒あふれる 小径を進んだ先に佇む、

こちらの町家です。

昔のつくりを生かしながら、 現代のライフスタイルに合うよう リノベーションされた1LDK。 1階は寝室と水回り、 2階にLDKがある間取りです。

落ち着いたタイル床の 玄関に入って、 いきなり声を上げそうになりました。

コロンとしたフォルムの ラ・フランス型ランプ、 かわいすぎやしませんか。

玄関から家の中を眺めるとこんな感じ。 手前の開口に入れば すぐに寝室ですが、

階段脇の襖からも 寝室へアクセス可能。 この美しい襖はもしかして…

と思った方、正解。 野田版画工房さんの作品です。 朝起きてすぐ、寝ぼけ眼で 唐紙襖を眺められる幸せ。

襖の向かいの格子戸の中は クローゼットと洗濯機置場。 なぜ洗濯機置場がここに あるのかというと、

すぐ横の窓の外に 洗濯物を干せる庭が 広がっているから。 おかげで、洗う→干す→しまうの 動線が短くスムーズに完結します。

寝室の襖から廊下へ出ると、 階段下に造作カウンターがありました。

コンセントも照明も備わっているので 就寝前の読書スペースや 作業をするスペースに ちょうどよさそう。

ちなみに、カウンターの照明も 玄関と同じラ・フランス型。 階段越しに眺めても、

外の庭から眺めてもかわいい。

サニタリーはトイレと洗面が同室。 洗面台はシャープな印象ですが、 間接照明の付いたまあるいミラーが ふんわりとやさしい雰囲気を プラスしてくれています。

25年10月に改装されたばかりなので、 バスルームもピカピカの新品。 カバーで覆われているけれど、 もしかしてお風呂の鏡も 丸型なのでは？ 鏡って掃除が意外と大変だから サイズ的にもこれくらいが助かるかも。

2階のLDKは、ダイナミックな梁が 頭上をめぐる天井の高い空間。 手前のキッチンカウンターは、

裏側が大容量の収納に。 キッチンは3くちのIHコンロや グリル、食洗機を備えた 料理好きさんにうれしい仕様です。

隣のリビングスペースは、 なんと畳の小上がり付き！ 床暖房のフローリングで くつろぐだけでなく、 畳でゴロゴロができちゃいます。

小上がりは正面から見ると おこもり感がありますが、

中に入ってみると驚くほど開放的。 リビングダイニングを見渡せるほか、 ガラス扉の外に目をやれば 吹き抜け階段も眺められる 特等席なのです。

階段室から見ると まるで中に浮いてるような。

しかも畳の下は収納だなんて、 なんてできる子！

そして、LDKの最大の楽しみは なんといってもこちらの襖。 唐紙見たさに閉めておくことが 多くなりそうですが、 閉めていても仕切りの向こうに 人の存在を感じられるのが 襖のいいところ。 アートのある生活と襖のある生活の 良さをどちらも知ることができる、 一粒で二度おいしいお家です。