佇まいや意匠のあまりの美しさに、
次世代に受け継がねばと使命感に
駆られる古いお家をたまに見つけます。
葉山の下山口に広がる約4200㎡もの
敷地に建つこの邸宅もそのひとつ。

冒頭の洋間から洋館を想像した方も
いるかもしれませんが、
じつは伝統的な日本家屋です。

築年こそ不詳なものの
文化財と言われても驚かないほど
見事な造りの建物。

さっそく玄関から見てまいりましょう。

まずは約270㎡の母屋へ。
これだけの広さで5Kという
贅沢なつくりが印象的です。
「母屋」というからには
「離れ」もあるのですが、
そちらはのちほど。

老舗旅館さながらの玄関に
のっけからドキドキしますね。
「ごめんください」とか
言いたくなる。
ここから板張りの廊下を進むと、

例の洋間が出迎えてくれます。
ヘリンボーン床に上げ下げ窓、
高い天井や垂れ壁の意匠…
どこを見てもうっとりしてしまう
クラシックな空間。

往年はここで華やかなパーティーや
要人の会議が行われれていたのでは…
なんて妄想が捗ります。

さらに廊下を進むと、
そこに待ち受けるのは
縁側に囲まれた二間の和室。

さきほどの洋間とは
まったく違った雰囲気なのに
違和感がないのは、
この邸宅が「本物」の空気を
まとっているからでしょうか。

縁側になじんだ洋風のランプに、
むしろ和洋折衷がこの邸宅の
あるべき姿だと感じてしまいます。

それにしても緑の庭の美しいこと。
夏のみずみずしさもいいですが、

秋には鮮やかに色づいて
目を楽しませてくれるそうですよ。

1階にはもうひとつ、
侘び寂びを感じる和室と

ひろびろとしたキッチンがあります。
システムキッチンではありませんが、
みんなで並んでお料理できる
懐の深さを感じられるのがいい。
向田邦子のドラマに
出てきそうだと思いません？

キッチンといいつつ
13帖の広さがあるので、
ダイニングスペースを
兼ねることもできますね。

2階には和室がわずか1部屋のみ。
なんとも特別感のある空間です。

窓の外にわっさりとした緑、
その奥には一色の町並み。

別の窓からは母屋の入り組んだ
構造美を眺めることができます。
絶対だめだと思うけど、
忍者ごっこしたすぎる。

晴れた日には遠くに
富士山まで望めるのですって！

レトロな水回りもぐっときますが、
ここを毎日ピカピカに掃除して
お湯を張るのは億劫…
そんな方はぜひ離れの
お風呂をご利用くださいな。

そう、離れ。

こちらは現代的なライフスタイルに
ぴったり寄り添う2LDKの平屋。

2LDKといっても
贅沢な空間の使い方は母屋同様で、
LDKだけで30帖の広さがあります。

キッチンも洗面も
暮らしやすさに全振り。

しかも洗面とトイレと浴室は
2つずつ備わっているというから
うれしいではありませんか。

2つの洋室はともに約12帖。
二段ベッドが並ぶのを見て
気づいた方もいるかもしれませんね。
お察しのとおり、
この邸宅は現在法人が所有しており、
保養所として使用されています。

これだけの広さだから
そりゃそうだようなあと思いつつ、
もしここで暮らせたら…と
妄想してしまうのも
物件ファンの性…というか業？

勤め先の社長を説得して
わが社の保養所に…
友人グループで使う別荘に…
宝くじ当てて自宅に…
あれこれ考えてはため息をつくのです。

ヘリンボーンと広縁が共存する
ヴィンテージな邸宅で。
あなたなら、どんなメンバーと
どんなふうに暮らしますか？