木をふんだんに使ったお部屋と 一体のように溶け込みつつ、 確かな存在感を放つ造作キッチン。 なんなら居室の面積の1/3くらいを 占めているのでは？

正面から見るとよりかわいい。 まるでインテリアのような、 これぞ造作！ といった趣。 大部分を覆う針葉樹合板は、 数百枚の中から木目が揃うものを厳選して 張り付けたものだそう。 なるほど、それでこの美しさ。 「かわいいねえ」って、 思わず木肌に触れたくなります。

このお部屋は 先日よりたびたびご紹介している 京都の「ロイヤルコート嵯峨」の一室。 マンション竣工時にざっと すべてのお部屋を眺めたとき いちばん気に入った物件なんです。

おそらく広さ自体は マンションの中でももっとも コンパクトな部屋のひとつだと思います。 8帖の居室と水回り、それに 6.5帖のロフトを備えた 一人暮らしにぴったりの空間。

玄関から順番に見ていきましょう。 シンプルで無骨な扉を開けると、

土間の廊下が目の前に。 部屋の外のような、 中のような、あわいの空間。 ここは大きな玄関土間と捉えて いいんじゃないかな。 シューズボックスのほかに 自転車やスケートボードを並べて。 FRP板の壁に仕込んだテープライトの光が やわらかく周囲を照らします。

続いて室内扉を開けると、この光景。 朱色のフロア、正面に開口。 電球を9つ並べた壁面照明が アクセントになっています。 右側は、自慢のキッチン。 左側は現しになった外壁が いい味出してますね。

それでは愛しのキッチンを 正面からもう一度。 タイルと針葉樹合板の組み合わせ、 そして大ぶりな白い取っ手が 何度見てもかわいい…。

先ほど「インテリアのようなキッチン」と 書いたのはあながち間違いではなく、 実はこの部分は造作のテーブルセット。

キッチンの中から引き出せば、

じゃん！ あっという間に食卓のできあがり。

しかも、テーブルセットを引き出した あとのタイルの天板は カウンターテーブルに変身。 可動照明を手元に向けて、 仕事や勉強、趣味の作業をどうぞ。 こんなふうに自慢のキッチンひとつで 生活の大半が完結してしまうのです。

さらに見ていただきたいのはロフト。 スチールのハシゴの上に、

こんなに素敵な空間が隠されていました。

壁は居室と同じく木目が美しい針葉樹合板、 床には柔らかなサイザルが敷かれています。 ベッドスペースにもってこいの 小上がりがあって、

やはりここでも 電球を9つ並べた壁面照明がアクセント。 秘密基地感がすごい。

押し入れに藤の扉をあしらったり、 ベッドの枕元？にニッチを設けたりと、 ディテールへのこだわりが光ります。

ハシゴを下りると、 ロフトの下は冷蔵庫置場と収納。 隣はサニタリーです。

そのサニタリーがこちら。 なんとここにまで合板がびっしり。 窓からの光が届かない位置を鑑み、 玄関と同じテープライトで 明るさをプラスしています。

隣のバスルームは窓付きでした。 ささいなことだけれどうれしいな。

料理するときはもちろんのこと、 食事もちょっとした休憩も仕事も 生活のほとんどを、ここで。 何度視界に入れても 何度使っても 飽きるどころか愛着が増し、 そのうち名前とかつけてしまいそう。 そんな自慢のキッチンが主役の暮らし、 始めてみてはいかがでしょうか。