いいお部屋って、説明しすぎると 無粋になることがあります。 ここは、その“説明いらず”な タイプのお部屋です。

天井はコンクリート現し、 鉄管もそのまま。 無骨なのに、不思議と落ち着く。 “整ったラフさ”という言葉が しっくりくる空間です。

間取りは横にすっと抜ける1SLDK。 対面キッチンから玄関まで視線が通って 実際の面積以上に広く感じます。 どこにいても光を感じられる間取りって それだけで気分が上がりますよね。

リビングは、無骨さと居心地の ちょうどいい中間。 現住人の西海岸風インテリアや レコードコレクションがよく似合っていて そのまま暮らしを 引き継ぎたくなるようなセンスです。

光が差し込む午前中にコーヒーを淹れて、 その日の気分に合わせた音を流すだけで お気に入りのカフェで過ごすような 特別な時間が生まれそう。

リビングから続くキッチンは 黒のサブウェイタイルと 真っ白なシステムキッチンの コントラストが印象的。 無骨な空間に 都会的な抜け感をつくってくれます。 お気に入りのマグやドリッパーを並べれば それだけで絵になる。 朝食の支度も 少しだけ丁寧にしたくなるキッチンです。

玄関は、リビングの一部のような 自然な存在感。

そのまま広がる土間へと続きます。

靴を並べるだけじゃもったいない。 お気に入りのスニーカーや自転車を置いて、 なんならクローゼットを兼ねてもOK。 “外と中のあいだ”を 自分らしくデザインできる場所です。

南向きのバルコニーからは 空が大きく開けて見えます。 10階という高さもあって 街のビル群を背景にした景色が 思いのほか爽快。 昼は青空、夜はビルの灯り。 どちらの時間も この部屋の“相棒”のように 寄り添ってくれます。

両開きのドアを開けて誘われる先は寝室。 なぜ両開きなのか、理由はわからない。 でも、それがおもしろい。 ちょっとした不思議も 暮らしを楽しくする要素のひとつです。

落ち着いた雰囲気の室内は 間接照明ひとつでも十分。 夜は静かにレコードを聴いたり、 本を開いたり。 ひとりの時間をちゃんと 楽しめる余白があります。

トイレはタンクレスで すっきりとした仕上がり。

鏡のふちや棚が木目で 居室との地続き感があってほっとする。

お風呂は少しレトロなユニットタイプ。 窓はありませんが 清潔に整えられていて 使いやすい印象です。 気になる部分は 少しずつ自分好みに 整えていくのも楽しそうですね。

この部屋のいちばんの魅力は 「完璧じゃない」こと。 無骨で自由、でもちゃんと居心地がいい。 そんな“街の隠れ家”で 気ままなひとり暮らしを始めてみませんか。

文・ほしりょうこ 散歩とビールと読書が好きな、元リフォーム屋さん。16年で9回の引越しを経験。もっぱら東京の西側にいます。 @hs_ryk