広くなくてもいいんです。

フランスの田舎のような、 絵本の中のような… そんな暮らしをずっと夢見てきました。

自然豊かな中に、 ちょこんと佇む小さな平家。 飾らないままの自分で、 ひとつひとつの時間を丁寧に楽しむ。 このお家なら、それが叶いそうで。

舞台は奈良・法隆寺の近く、 川合町の静かな場所。 緑と土の匂いに包まれた小径を抜けて、 ほら、見えてきましたよ。 大きなユーカリの木が目印です。

まさに"小さなお家"と呼びたくなる、 三角屋根に木の扉。 絵本に出てきそうな、 こぢんまりとした可愛らしい外観。 建築士さんが自らリノベーションした、 こだわりの詰まった平家です。

「ただいま」と扉を開ければ、 小さな灯りと木の温もりが迎えてくれる。 飴色の床、漆喰の壁、 窓からのやさしい光。 夢に描いた空間が、目の前に広がって…。 すみません、ちょっとだけ暮らしの妄想に お付き合いくださいね。

まずは買ってきた新鮮な食材で お夕飯の仕込みをしちゃおう。 グレーの壁とタイルに 一目惚れした造作キッチン。 今は所狭しと調味料が並んでる。

この家に住んでから、 料理がもっと好きになりました。 自然の光の中でつくるごはんは、 不思議とどれも美味しそうに見えるんです。 広いカウンターに食材を並べれば、 まるで小さなお店のシェフ気分。

仕込みを終えたら、 ちょっと休憩、窓辺の特等席へ。

景色を眺めながら「いい家だなぁ」 って何度も噛みしめる。 絵本みたいに動物たちが ひょっこり顔を出しそう、 なんて想像しながら。

朝はここでコーヒーを飲みながら、 切り取られた景色を眺めるのが日課。 少しずつ変わっていく季節を、 窓から感じられる贅沢な時間です。

広い土間は、自転車も植栽グッズも、 なんでもインテリアの顔になる 頼もしい空間。

お花や雑貨を飾れそう、 なんて思っていた 土間収納も気づけば キャンプ道具まで仲間入り。

バルコニーの様子も見ておこう。 リビング横のウッドデッキから階段を上がれば、

自慢のバルコニーへ。 育てた野菜を収穫して、 今日のサラダに入れちゃおう。

バルコニーからはお隣の畑や田んぼの景色。 田んぼの色の移り変わりで、 もう秋かぁ、新米の季節だな。 ってちょっとお腹を空かせたり。

外仕事を終えたら、 土間から洗面室へ直行できます。

自由なカウンター下とは対照的に、 ミラーキャビネットにはたっぷり収納。 暮らしをすっきり整えてくれる、 そのバランスが嬉しいんです。

洗濯物はこちらに。 洗濯機横の素朴な引き出しは 見た目以上の大活躍。

お風呂はリノベーション時に 入れ替えられているようです。 一風呂浴びてさっぱりしたら、 お夕飯にしよう。

そうそうお手洗いも可愛いので、 見ていってください。 元々のタイルがお家に合わせて デザインされたかのようなんです。

暗くなる前に洗濯物を取り込んで、 お風呂場の名残を活かした、 大容量のウォークインクローゼットへ。 服の隙間から顔を出すタイルが、 なんとも愛らしくて。

リビングから寝室、 そしてクローゼットは ひと繋がり。 暮らしに寄り添うような動線です。

最後になりましたが、間取りはこちら。 必要なお部屋だけをゆったりと配置した、 憧れのちいさな平家。

お家までの道は、 お察しの通り車は通れません。 けれど、この小径を歩くたびに 物語の始まりを 感じさせてくれるのです。

駅までは、自慢の自転車で10分ほど。 インテリアとしても馴染む相棒となら、 道のりさえも楽しい時間になります。

さて、一通りお部屋をご紹介したところで。 あとは、仕込んでおいた お夕飯を食べるシーンまで 妄想を続けさせてください。

ついつい、暮らしのイメージが 膨らんでしまう、そんなお家。 こんなに理想の小さな平家には、 もう出会えないかもしれません。

夢にまで見た憧れの暮らしに 思い切って、手を伸ばしてみませんか。

文・せのおさくら リノベーションのしごと。 朝ごはんを座って食べる暮らしをめざす。