こちらは新築戸建て事例記事ですので見学はできません。新築やリノベーションの参考・検討にどうぞご活用ください。

中でも外でも無い、そのちょうど 中間のようなエリアを「中間領域」と 呼ぶことがあります。 今回はそんな中間領域が 室内と街を心地よい距離感でつなぐ、 すてきな施工事例をご紹介します。

外観を見ると、 窓のある白い外壁面の手前に、 さらに正方形の開口のある 壁が設けられているのがわかります。 黒い壁に映る木々の影も美しいですね。

その2枚の壁の間が中間領域。 壁に囲まれ、室内からほぼフラットに つながるデッキもあるという 屋内的な要素も持っていますが、 屋根のない屋外空間となっています。 外と中の境界を曖昧にグラデーション させることで、内外のつながりを強め、 それにより開放感を感じられる 空間となっています。 一部タイル貼りになった床も、 屋外とのつながりを強調していますね。

やや高めの腰壁により、 座った時に道路側からの 視線が気になりにくくなり、 ゆったりとくつろげる、 居心地の良さをつくっています。

窓際の吹き抜けが縦方向への広がりと 上下のつながりを生み出しています。 刻一刻と変わる木々と構造の影を 眺める贅沢な時間が楽しめそうです。

壁の前後に配された植栽によって、 中間領域であるお庭と屋外側の境界が よりシームレスになっているように 感じます。

ダイニングキッチンは木の質感が 優しいあたたかな雰囲気。 壁や扉もアイボリーで 美しく統一されています。

リビングの入り口には 便利な独立洗面台が。 ハイサイドライトや壁付の水栓が 特徴的な洗練されたデザインで、 鏡越しにお庭の様子も目に入る、 気持ちの良い空間です。

そのほか、1階には水回りが まとまっています。 玄関のシューズクローゼットや キッチン横のパントリーなど、 大きな収納が設けられているので お部屋をすっきり保てそうです。

階段を上がった先はセカンドリビング。 1階のリビングとは階段と 窓側の吹き抜けでつながっているので、 1階で庭を眺めてくつろぎながら 2階で遊ぶお子さんの様子を感じられる という設計になっています。 お客様をお迎えするリビングのほかに、 多少散らかっていても気にならない 家族の空間があるというのは、 お子さんがいるご家庭にとっては うれしいですよね。

こちらは色味もサイズ感も かわいらしい子ども部屋。 ハイサイドライトでプライバシーにも 配慮されています。

庭に向けて大きな開口を取った寝室は、 朝起きてスクリーンを上げると 緑色に茂る木々の見える 気持ち良い空間となっています。

2階の各居室には収納を設けず、 ウォークインクローゼットに 集約しているので、 ライフスタイルの変化にも 対応しやすい間取りとなっています。

室内と室外が中間領域である庭を 介して街とつながり、面積以上の 広がりを生み出しているように 感じます。 街なかに建つ家を考える際に 非常に参考になるのでは ないでしょうか。

文・佐藤シュン 浜松で設計事務所をやりながら、黒猫と暮らしています。