魔女みたいなおばさんになりたい
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近所の小学生に 「あの家、魔女住んでんだぜ!」って 言われるようなおばさんになりたい。
何で生計を立ててるのか全く謎だけど 質のいい生地のワンピースを着て、 庭でハーブを育ててるような。
髪はハッピーなオレンジ色で、 いつも鼻歌歌ってる 陽気で自由な人。
女友達が遊びに来る日は 玄関にカラフルな靴が並ぶ。
「ちょっとあんた、 ここって水しか出ないの?」って ぶーぶー言われて。
それぞれが持ち寄った 料理とお酒を掘りごたつに並べる。
歳をとると揚げ物が辛くなる、 なんて言うけれど。
「年々、脂ギッシュになってない?」って 笑えるほどに、パワフルなラインナップ。
庭で育てた野草を天ぷらにする。
広めの台所は、 3人で並んで立っても十分。
「葉っぱなんてって思ったけど、 案外イケるわ」って 辛口の友達にも評判。
そんなんで良い気分で夜は更けて、 また来月、って解散して。
目覚ましかけずに寝ちゃっても、 家にぽかぽかと入る日差しで なんとなく起きれる。
昼前に入るお風呂は 爽やかで明るくて好き。
ユニットバスにはない ゆとりが気に入ってる。 追い焚きもできるし。
ちょっと掃除がめんどくさいけど、 ジムの代わりと思ってせっせと洗ってる。
今日は畳の入れ替えの日。 ざっと荷物を 隣の部屋に移動して。
近所の畳屋さんが 新しい畳を運び入れる。
イグサの香りが 部屋中に立ち込めるのが気持ちいい。
起きるのが遅かったから もう陽が落ちかけて。
縁側は、優しく陽だまりを作る。 築85年の懐の深さ。
ここに座って 最近習い始めた三味線の練習。
練習しとかないと、 次のレッスンで師匠に叱られる。
歳をとってからの習い事は楽しい。 学ぶこと、教えてくれる人がいること、 仲間ができること、世界が広がること。
1人で過ごす時間も 人と過ごす時間も 自由も不自由も ファンキーに楽しめる そんな魔女みたいなおばさんになりたい。
文・戸田江美
1991年生まれ。デザイナー。おばあちゃんの仕事を継いで荒川区のマンションの大家をしている。落語が好き。@530e
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