無垢の床と漆喰と珪藻土の壁が醸し出す
ほんわりした質感。
そして窓からさしこむ温かい光。
やさしい。

林と畑に囲まれた
自然豊かでのどかな場所に建つ
いぶし銀の2階建て。
何やら物語が始まりそうな予感。

あら、ドアと外観の色合いが違う。
たまらなくしびれる組み合わせ。
ほんのちょっとの差かもしれないけれど
できない、というか思いつかない。
それが、センスというもの。

やっぱり扉の向こうは素敵でした。
ランプに建具、三和土の塩梅

さりげないけれど見とれてしまう。

ひとつずつ、細やかに。
たっぷりの愛を注いで
選ばれたのだなという気配を感じます。

陶芸家のご主人と
パン職人の奥さまの
自宅兼工房だったお家。

水廻りに使われているタイルは
ご主人の手作りという
世界でただひとつのタイル。

さすがのこだわりがあちこちに。

1階には工房が2つ。

広い方は陶芸の工房。

器を焼く窯が使えるように
容量を大きく設定しているのだそう。

お隣の工房は少し小さめ。

玄関とは別の出入り口があるので

小あきないにいかがでしょう。

じゃあ私はこっちの工房で
焼きたてパンを売りますね。
コッペパンが大好きでして。
無垢の木の棚をしつらえて
あなたが焼いた自慢の器を並べ
ギャラリーにしてもいいかしら。

きっとふたりの朝はとても早い。
けれどお互い寝起きの機嫌は
よくも悪くもなくむくりと

1階にある寝室のベッドから
もぞもぞと抜け出て工房へ。

日がな一日、お互いの工房で
黙々と作業する。
日中はとくに顔は合わせないのだけれど
たまにほんのり感じる
相手の気配にホッとしたり
無理してないかなと心配したり。

気まぐれにコーヒーを淹れたら
土に熱中するあなたにそっと声をかけて

2階のベランダでひと休みして

淡々と和やかな日々。

日が暮れたら2階のリビングダイニングで
ゆっくり食事しながら

こんなことがあったよと
そうなんだ、あったんだねと
ひとつ屋根の下にいながらも
そんな取るに足らない報告を。
それがたまらなく幸せなんだ。
どうぞ明日もこの人が
手応え感じるものづくりに
夢中になれますようにと
お互い想い合いながら。

顔を洗って歯を磨いて
カチカチに凝った肩を
湯船にとっぷり張った
ほどよく熱いお湯で温めて

明日も早起きできますようにと
そんなことを想いながら
お風呂上がりにも
ふたりでついつい缶ビールを
いくつも飲んで
話も弾みほんのりいい気分で
布団にもぐる。

仕事も生活の一部であるし
生活も仕事の一部だから
肩の力を抜いて集中できるよう
ものづくりができるありがたい工房。
優しく包み込むように
見守ってくれる自由な家。

ものづくりとは時に魂をけずるもの。
どうしてもアウトプットばっかりで
ともすれば
自分が空っぽになったような気がしたり。
そんな時にこの住まいに暮らしていたら
暮らしながらインプットも与えてもらえる。
こんな家ならきっと
ずっと味方でいてくれそうですね。