
セキセイインコはお日様のにおいがする
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指に乗った瞬間に ぷわ〜っと小さな身体の体温が上がる。 嬉しいと体温が上がるらしい。
35gの小さな重さが愛おしい。
自分の名前、 「おやつ!」っておねだり、 私の「ねむ〜」って口癖。
部屋の角に置いた籠の中で
ジョリジョリ、ピィピィ、こそ練してる。
撫でると ウトウトと頭が垂れてくる。
ガクッとなったところで
ハッと目を覚まして飛び立つ。
人間みたい。
最初は引き戸があったんだけど、
初めて飛んだ日は、まだ下手くそで
引き戸に激突してたっけ。
夏祭りの屋台で買った 小さなひよこのキーホルダー。
お気に入りで、嘴に咥えて小走りしては、ぶん投げてる。
「かわいいねえ」って、私の語尾の上がり方を真似して喋っては、ぶん投げてる。
病院に連れて行くとき用の小さな籠に、 冬に使う小鳥用ヒーター、 2日に一回あげるおやつ餌、 せっかく買ったのに 全然遊んでくれない鳥用おもちゃ。
どんどん増えていく。
天袋は本棚代わりにしてる。
この子と一緒に暮らし始めてから、
鳥を題材にした本に惹かれるようになった。
外置きの洗濯機には、
こないだ買った
インコ柄のカバーを被せてある。
インコのくせに、気がつけば 「ぴよぴよ」って鳴くようになってた。 「ぴよちゃん」ってたまに呼んでたせいかも。
雀たちと「雨上がったね」って
言い合ってるみたい。
蛇口をひねって 水を両手で受けると その中にダイブしてくる。
さっぱりするみたいで
思わずさえずっている。
チチチッと湯沸かししてる間に サラダ作り。
最近、豆苗を育て始めた。
並んで育てているのは、
人参の葉っぱ。
「んまい」って独り言言ったら
「ピィ」って返事してくれた。
小学生の頃、初めてインコを飼った。
今また飼ってるのは、
この部屋でその子のことを
しみじみと思い出したせいかもしれない。
高度低めに飛ぶ飛行機の音がする。
文・戸田江美
1991年生まれ。デザイナー。おばあちゃんの仕事を継いで荒川区のマンションの大家をしている。落語が好き。@530e

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