
おくどさんのいる長屋のアトリエ
この物件は現在は募集終了している可能性が高いです。過去物件のアーカイブとしてお楽しみ下さい。
街の絵を描いている。 小春日和の鴨川。 飴色の京都タワー。 紅葉がパッチワークのようになる石畳。
独立して4年目。
描き続けて、
少しずつ絵で
食べられるようになってきた。
まだバイトは欠かせないけど。
ガラス雑貨を作る
彼の工具も散らばっている。
布団をふたつ並べて敷く。
越してきた日は
修学旅行みたいってはしゃいで
眠れなかった。
関東生まれの彼は 初めて聞いたらしい。
せっかくの おくどさんスペース。 だけど、どうしても 炊飯器に頼ってしまい 今はキッチン用具置きと化している。
ごめんなさい、おくどさん…。
次の個展が成功したら
釜を迎え入れようかな。
ここに住んだ先人たちと
大家さんや職人さんたちが
紡いできた空間なんだ、と
鍋から立ち上る煙を見てると
ちょっとセンチになる。
でも寒さより
この家の個性を
気に入ってる。
この街を、大正時代前から 見てきたらしいこの家。
おくどさんみたいな この街「らしさ」が詰まってる。
例えば、床。
帰宅すると、
鍾馗さんにも
「ただいま」って言う
癖がついた。
文・戸田江美
1991年生まれ。デザイナー。おばあちゃんの仕事を継いで荒川区のマンションの大家をしている。落語が好き。@530e

いま募集中の物件一覧
お部屋探しに!今空いている物件だけを絞り込んで探せます
詳しくはこちら