ここに越してきてから、季節が身近になった
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束の間の冬晴れの日は、木漏れ日が床に落ちる。 障子に挟まれたこの部屋。
陽のじんわりとしたあたたかさが肩に降ってきて、 ソファの上にごろんとなる。
ブランケットを頭からかぶる、 土曜日午後3時の昼寝。 もぞもぞ起きると午後6時。 夢の中で何度か起きた筈なんだけど、 思ったより寝ちゃったなあ。 今日も夕ご飯は、鍋。 昨日の常夜鍋の余りにオイスターソースを入れて 中華風にする。 去年始めた漬物を、床下から持ってくる。 床下収納って、ここに住むまで使ったことなかった。
今年初めて漬けた梅酒、旅行用トランク、 キャンプグッズ、謎のキッチン道具。 いっぱい入って意外と便利。 屋根にポツンと跳ねる雨の音がし始めた。
天気予報によると、雨は夜更け過ぎに、 雪には変わらないらしい。 今年は暖冬だ。 食べ過ぎた夕食で膨れたお腹を抱えて、お風呂に向かう。 月曜出社したら片付けないといけないアレとコレ。 昨日彼氏に言っちゃった余計な一言。 小さい小さい嫌なことを、シャワー浴びながら思い出す。
まあそんなこともあるよねって、 広めの湯船に浸かると、思えることもある。 寝室の収納は服と本でいっぱい。 積ん読の山から引っ張り出したのは、池波正太郎。
雨の音に風情を感じられるようになった、 今日の私へのセレクト。 雨はまだ降っている。 あたたかくなるのが待ち遠しい。 年に一回、大家さんが庭の手入れをしてくれる。
春が近づくと、窓の向こうから ほんのり土の香りが漂ってくる。
駅近のワンルームに住んでた時は
嗅いだことのない香り。
何故か胸の踊る香り。
「開け放った障子の向こうに、
奥庭の木や草が滴るように鮮烈な緑の色があふれ、
植え込みの南天が六弁の小さな花を
つけているのが目に入った」 (『新装版 鬼平犯科帳 18巻』 (文春文庫)・池波正太郎)
明日も木漏れ日から一日が始まる。
文・戸田江美
1991年生まれ。デザイナー。おばあちゃんの仕事を継いで荒川区のマンションの大家をしている。落語が好き。@530e
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