日曜日とかに、私はふと
「よい暮らし」ってどんなものだっけ、
と考える。

やりがいのある仕事をして、
好きなことに没頭したり、
好きな人と過ごす自由な時間があって、
小さな夢に向かって前に進んでいるような、

そんな暮らし？

たぶん、そういう暮らしは
たしかに「よい暮らし」なんだろう。


でも、そんな一般論では、
なんとなく満足できない。

暮らしというのは、もっと身近な、

目に映るものや景色、
何気なく聞こえる音、
部屋を満たす匂い、

そういう感覚の積み重ねできていて、

だから、
「よい暮らし」とは、
「よい感覚の蓄積」のことだと思うのです。

そして、よい物件というのは、
それが、古かったり、
ごく普通なものに見えても、

「よい感覚の蓄積」を手助けしてくれる、
優しい巨人のような、
穏やかな雰囲気を持っている。


＊


これはどこかで見たことがあるような、
いわゆるふつうの物件。

でも、私にはわかる。
このお部屋は、優しい巨人だって。

間取りはふつうの1LDK。

寝室とリビングとダイニングキッチン。

1LDKは、
機能ごとにスペースが分かれているから、
寝るところ、料理をするところ、
くつろいだりするところを、
それぞれにふさわしい空間に仕上げられる。


例えば、このダイニングキッチン。

これだけの広さがあれば、
大切な食器をしまう大きな棚や、
小さなテーブルを置ける。

キッチン横のテーブルでは、
パスタを茹でているあいだに
本の続きを読んだり、

カレーを作りながら
ビールと一緒にぼんやりしたりできる。

二人で餃子を包んだり、
生地をこねたりすることも。

そういうことをふつうにできるキッチンて
意外と少ないんじゃないかな。


次は寝室。

これはあくまで個人的な意見だけれど、
それがどんなに素晴らしいものであっても、
キッチンは寝室から離れているべきだ。
料理というのは、言ってみれば殺生なのだ。

この優しい巨人は、そのことを、
ちゃんとわかっているみたい。

廊下の奥のこの寝室。なかなかの広さ。
クイーンサイズのベッドを置くことも、
小さなベッドと書物机で書斎風にもできる。
壁一面に本棚を置くことも。

ベランダからは大きな並木が見える。
木々のあいだを通り抜けた陽光やそよ風は
ベッドを生き生きとしたものにしてくれる。

クローゼットも大きい。
洋服たちも喜ぶだろう。


続いて水周り。

お風呂、トイレ、洗面所、
こちらも、それぞれにしっかりと
スペースが割り当てられている。

※電気が通ってないのでこの写真はフラッシュをたいて撮ってます

余裕のある朝は、広いバスルームからと
言ったのは誰だったけ？


最後にリビング。

ダイニングキッチンの向かいにある、
この空間がリビングルーム。

やっぱり、この物件の良さは、
どの空間にも感じる広さの優しさ。
広すぎず、狭すぎず、ちょうどいいのだ。

ここにはソファーも置けるし、
こたつを置いてもいい。
大画面のスクリーンもいいし、
巨大な観葉植物でもいい。

大きな物体をどんと置いてみたい。

大きな出窓と、ベランダからの二面採光。
風もよく通る。

晴れた日の空の色や、
夕方の陽の光、
雨がしとしとと降っている寒い夜の空気、

そういう外の世界の生の情報って、
「よい暮らし」には、
不可欠なことではないかという気がする。
なぜだかはわからない。

ベランダからは大きな木々が、
ゆらゆらとそよいでいるのが見える。

首都圏に住んでいると、これって
意外と贅沢なことなのではないかしら。

駅から少し離れた場所には、
余裕のある間取りや空間、
窓から見える静かな景色みたいな、
「よい暮らし」の手助けをしてくれる
優しいところを持った物件が多い気がする。

この1LDKのお部屋みたいに。