![](https://photo.roomhub.jp/media/2/6078720633640864583.jpeg)
この部屋を思い出すとき
この物件は現在は募集終了している可能性が高いです。過去物件のアーカイブとしてお楽しみ下さい。
私はきっといつも、
あなたの事を思い出す。
前後何年もずっとつきあっていた
あの人の事をではなく、
あの人と疎遠になってた間に
短く一緒にいたあなたの事を。
あの人との長引く喧嘩がいやで、
プイと近くの公園で
一人氷結を決めていた時、
![](https://photo.roomhub.jp/media/2/6078720633640864584.jpeg)
まさかの
同じ氷結を持って現れたあなたは
怒りとか恨みとか、
それどころか汗とか体温とかでさえ
その身に宿していないんじゃないか
って
そんな気がするような乾いた表情と
乾いた肌をしていた。
そんな出会いの記憶を
思わず口走ったお布団の中で
あなたはカラカラと笑い
「そんな事はないですよ」と
また笑った。
![](https://photo.roomhub.jp/media/2/6078720633640864585.jpeg)
ただ汗をかきにくい体質らしく
確かにその火照った体を無視して
驚くほど、肌は乾いていた。
まだ暑さの残る福岡の10月始め、
確かに左端のフックは
あなたのシャツジャケットを
無造作に引っ掛ける場所だった。
![](https://photo.roomhub.jp/media/2/6078720633640864586.jpeg)
もともと
物が少ない我が家だからこそ
少しのモノが増えただけでも
その人のイメージが
つきやすかったのだけど
あなたの持込むモノや空気は
いつだって乾いていて軽やかで
人の湿度を
感じさせないものだった。
![](https://photo.roomhub.jp/media/2/6078720633640864587.jpeg)
憧れ半分、ふざけ半分に
玄関先の姿見で
あなたのシャツジャケットを
軽く羽織った時の
どうしようもない程の
自分の存在感と
それを微笑む
あなたの薄い美しさとを比べて
不平を呟いたりもした。
![](https://photo.roomhub.jp/media/2/6078720633640864588.jpeg)
その年の私の遅い夏休みは、
それを待ってたかのように
立て続けにやってきた
季節外れの台風のせいで
あなたとこの部屋でこもって
肌を寄せて映画をみて過ごした。
![](https://photo.roomhub.jp/media/2/6078720633640864590.jpeg)
アルコールが主食なんだよねぇ
って冗談が
冗談に聞こえないほど
あなたは
アルコールとコーヒーと
それからアイスばかりで、
つられた私も結局は
ほとんど
似たような食生活だった。
![](https://photo.roomhub.jp/media/2/6078720633640864591.jpeg)
普段はあんなに
バランスを気遣って
自炊するのがインスタでの
細やかな自慢のような
私だったのに。
そんな
自堕落になって行く私を
あなたはずっと
軽やかに
受け入れ続けてくれた。
少しも怒る事もなく。
私も恥じる事もなく。
そして二人でいる時は
いつも肌のどこかが
直接あなたと触れ合っていた。
眠る時、映画を見る時、
ご飯を食べる時、
お風呂に入る時だって
ずっとそうだった。
![](https://photo.roomhub.jp/media/2/6078720633640864592.jpeg)
いっぱい甘えて
いっぱい子供の頃の話をして、
好きな映画の話もしたし、
どうでもいい話も
飽きる事なく話した。
停電で映画も見れない時には
特にくだらない話ばかりした。
ただ、
未来の話は一つもしなかった。
![](https://photo.roomhub.jp/media/2/6078720633640864593.jpeg)
二人ともこれが
刹那の出会いだって
きっとわかっていたから。
![](https://photo.roomhub.jp/media/2/6078720633640864594.jpeg)
そして、遅い夏休みは
短い夏休みでもあった。
台風は去り、
遅い夏休みも終わり
有給の延長戦を数日過ごしていた時、
不意に「じゃぁ帰るね」って
あなたは。
今年もあの時のような台風が来る。
あれから引っ越して、
仕事も恋人も変わったけれど、
あの部屋と、
あの部屋であなたと過ごした
あの季節ハズレの
台風の日々を思い出す。
話す言葉もつきかけて
それでも時間を埋めるように
肌を重ね合わせて
鼻の頭にだけうっすら汗をかいた
あなたを思い出す。
あなたの事を思い出す。
前後何年もずっとつきあっていた
あの人の事をではなく、
あの人と疎遠になってた間に
短く一緒にいたあなたの事を。
あの人との長引く喧嘩がいやで、
プイと近くの公園で
一人氷結を決めていた時、
![](https://photo.roomhub.jp/media/2/6078720633640864584.jpeg)
まさかの
同じ氷結を持って現れたあなたは
怒りとか恨みとか、
それどころか汗とか体温とかでさえ
その身に宿していないんじゃないか
って
そんな気がするような乾いた表情と
乾いた肌をしていた。
そんな出会いの記憶を
思わず口走ったお布団の中で
あなたはカラカラと笑い
「そんな事はないですよ」と
また笑った。
![](https://photo.roomhub.jp/media/2/6078720633640864585.jpeg)
ただ汗をかきにくい体質らしく
確かにその火照った体を無視して
驚くほど、肌は乾いていた。
まだ暑さの残る福岡の10月始め、
確かに左端のフックは
あなたのシャツジャケットを
無造作に引っ掛ける場所だった。
![](https://photo.roomhub.jp/media/2/6078720633640864586.jpeg)
もともと
物が少ない我が家だからこそ
少しのモノが増えただけでも
その人のイメージが
つきやすかったのだけど
あなたの持込むモノや空気は
いつだって乾いていて軽やかで
人の湿度を
感じさせないものだった。
![](https://photo.roomhub.jp/media/2/6078720633640864587.jpeg)
憧れ半分、ふざけ半分に
玄関先の姿見で
あなたのシャツジャケットを
軽く羽織った時の
どうしようもない程の
自分の存在感と
それを微笑む
あなたの薄い美しさとを比べて
不平を呟いたりもした。
![](https://photo.roomhub.jp/media/2/6078720633640864588.jpeg)
その年の私の遅い夏休みは、
それを待ってたかのように
立て続けにやってきた
季節外れの台風のせいで
あなたとこの部屋でこもって
肌を寄せて映画をみて過ごした。
![](https://photo.roomhub.jp/media/2/6078720633640864590.jpeg)
アルコールが主食なんだよねぇ
って冗談が
冗談に聞こえないほど
あなたは
アルコールとコーヒーと
それからアイスばかりで、
つられた私も結局は
ほとんど
似たような食生活だった。
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普段はあんなに
バランスを気遣って
自炊するのがインスタでの
細やかな自慢のような
私だったのに。
そんな
自堕落になって行く私を
あなたはずっと
軽やかに
受け入れ続けてくれた。
少しも怒る事もなく。
私も恥じる事もなく。
そして二人でいる時は
いつも肌のどこかが
直接あなたと触れ合っていた。
眠る時、映画を見る時、
ご飯を食べる時、
お風呂に入る時だって
ずっとそうだった。
![](https://photo.roomhub.jp/media/2/6078720633640864592.jpeg)
いっぱい甘えて
いっぱい子供の頃の話をして、
好きな映画の話もしたし、
どうでもいい話も
飽きる事なく話した。
停電で映画も見れない時には
特にくだらない話ばかりした。
ただ、
未来の話は一つもしなかった。
![](https://photo.roomhub.jp/media/2/6078720633640864593.jpeg)
二人ともこれが
刹那の出会いだって
きっとわかっていたから。
![](https://photo.roomhub.jp/media/2/6078720633640864594.jpeg)
そして、遅い夏休みは
短い夏休みでもあった。
台風は去り、
遅い夏休みも終わり
有給の延長戦を数日過ごしていた時、
不意に「じゃぁ帰るね」って
あなたは。
今年もあの時のような台風が来る。
あれから引っ越して、
仕事も恋人も変わったけれど、
あの部屋と、
あの部屋であなたと過ごした
あの季節ハズレの
台風の日々を思い出す。
話す言葉もつきかけて
それでも時間を埋めるように
肌を重ね合わせて
鼻の頭にだけうっすら汗をかいた
あなたを思い出す。
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