そろそろ落ち着いてもいいはずなのに、
冒険心を忘れられない、わたし。

見たことがない造りに惹かれて、
つい住み着いてしまった。

外壁の染みた朱色もレトロでわたし好み、
建物の古さなんて気にならない。

打ちっ放しのコンクリートの玄関に、
荒い壁の塗装がクール。

シンプルなスイッチが、また可愛い。
切り替える時の音がたまらない。

斜めに貼られた床がお出迎え。

部屋の中心で、突如行き止まり。
鉄板に行く手を阻まれたと思いきや…

この壁、回っちゃうんです！

昔から仕掛け絵本が好きで、
ギミックに弱い私は一瞬で回転壁の虜に。

間取り図をパッと見たときに、
意味がわからない感じが
わたしを内見に駆り立てた。

壁を閉じれば、部屋は完全に仕切られる。

無機質な鉄板壁が外の光を、
やさしく反射しているのを眺めるのが好き。

廊下の端のインナーバルコニーは、
出不精なわたしの、貴重な日光浴スポット。

小ぶりなバルコニーだけど、
おひとり様には、ちょうどいい。

洗面台の離れた二つの照明は、
点けると光る触覚みたい。

スケルトンの水回りがカッコいい。
さっきの壁を回せば、脱衣所になる仕様。

キッチンがタイトなだけに、
手の込んだものは作れないけれど。

その代わり一品を、
味わい深い料理にするのにこだわってる。

住んでからというもの毎日、
このお部屋ポテンシャルに驚かされるけど、
なんだか落ち着かない造りが、
わたしに刺激をくれている。