灰色のコンクリートに木枠の窓。
食卓を兼ねた銀色のアイランドキッチン。

正方形の窓と控えめな灯りが心地いい。
すぐ上を階段が上がっていくのも楽しい。
一人でこそこそしたい洞穴っぽさが好き。

ううん、なんて美味しい場所なんだ。
料理は勿論、何でもできそうじゃないか。
私は読書や語学の勉強もここでするだろう。

それで、気晴らしに卵を茹でたり、
ワインの栓を抜いてハムを食べたり、
何となくニュースを眺めたりするだろう。

つんつん。アーチの向こうもあるのです。
私はダイニングでお腹一杯なのだけど…。

もう一つの部屋があるのは無限の楽しみ。
深い床色やオリーブのカーテンも完璧だ。
湿った空気の雨の日なんて似合いそうだ。

それで、隣がウッドデッキのバルコニー。
よく陽が当たる訳でもないのがまたよし。
冷たい風に触れつつ読書の続きがしたい。

そうか、メゾネットの二階にお風呂。
なんて私の好きな間取り図なのだろう。
上の5帖は、大きめの衣裳部屋にしようか。

いや、ここにベッドも置けるでしょうか。
眠くなったら下の灯りを消して来るのか。
たいして何もない一日も濃密な気がして。

洗面台のある小部屋でさっぱりして、
幾らか雑然としたままの寝床にもぐる。
脱衣所と寝室のハーフ＆ハーフみたいな。

ああ、想像通りのタンクレストイレだ。
ぽつんとしてるのがまるで私みたいだ。

ふふ、小さい小さいバスタブですこと。
秘密にしておきたいような浴槽ですね。

まるで一枚の絵みたいに静かな生活。
ひんやりとして温かみのある家で過ごす。
私が希求しているものが形になっている。