いくら仲が良くても、絶対に個室が
必要になるだろうから。

それもそうだね、と納得して、
その気になれば全部の部屋が繋がる
間取りの2DKを借りることにした。

なにかあれば、キッチンで話そう。

靴箱は二人で使うには小さいけど、
まあまあ納得して使っている。

そういえば、脱衣所がちゃんと
確保されているのも良かった。

向かって右側が私、左側が彼女。
ちゃんと棲み分けるし、化粧水を
分け合ったりはしないことにした。

でも入浴剤はお互いがお金を出して
共有する、二人の持ち物になった。
お風呂が好きだからだ。

風呂から出たあとは、キッチンで
過ごすことも多いけど、平日はほぼ
互いの部屋に戻っていく。

彼女の部屋にだけ収納があるから、
布団や家電など、二人の持ち物は
ここに入れることにした。

私の部屋には収納がないから、
簡素なハンガーラックを買ったり、
棚を増やして対応した。

互いの機嫌がいいと、中央の扉を
こんなふうに開けておく。

片付けをしていたり、私の帰りが
遅いときには、こうしてキッチンに
繋がる扉を彼女は開けっ放しにして
眠っている。

「人の気配がするところで自分だけ
眠るのが好き」なのだと言う。
そんなもんかな、と思いながら、
私は夜中に靴を磨いたりする。

休日の朝はまず洗濯から始まる。
二人とも、朝に強くて夜に弱いから
早起きが苦にならなくてよかった。

空が広いところだと思う。

それで、すべての扉を開けたあと、
キッチンで朝ごはんを食べる。
特別仲良しだとは思わないけれど、
こういうとき「仲良しなのかも」と
思ってみたりする。

扉を一枚隔てるだけで、すこしだけ
気を遣って居心地がよくなるから、
なんだか不思議だ。