いいなあ、空っぽで、洗いざらしで。
こういう部屋に住みたいというより、
こういう人になりたい、そんな家だ。

築40年のマンションの壁や天井を、
ざっくりと剥いて白く塗ったような人。
床もコンクリートだけで、だだっ広く。

そこには不揃いの木材でこしらえた、
素っ気ないけど温かい箱があってさ。
じっさいの話、何が入ってるんだろう？

と思って、間取り図を見てみたら、
木箱の中にクローゼットとロフトが。
それに、トイレとお風呂まであった。

あと、こんな質素な作りをしておいて、
じつは床暖房なんてうれしいじゃないか。

なるほどね、木箱の中の、収納と寝床。
こんな一人暮らししてたら、たしかに、
変わり者って言われても仕方ないかも。

木箱のなかの白いお風呂、トイレ。
思ったよりもキュートだった。いいね。
だけど、キャンプしてるような雰囲気も。

快適さというよりは、自由が欲しい、
みたいな思想を感じさせるからかな。
野営するようにキッチンで米を炊きたい。

それでいて、殺風景な都会のマンション。
よく見たら、けっこう味があったりして。
こんなところでひっそり生きてるんです。

いつも空っぽで、洗いざらしなのだが、
心の底には床暖房を備えているような、
こういう部屋みたいな人に、私はなりたい。