ぱっと見ただけで感じる、
一人の愉悦の工夫を凝らしてある。
ここでよろしくやっているのです。

黒にも幾つもの表情があると知る、
目の細かいキッチンのタイルが自慢。
壁にテレビが備わっているのもずるい。

それに、調理スペースとしても、
食卓としても重宝するカウンター。
一人暮らしでこのキッチンは王族。

44平米の1LDKは、やみつきになる。
南東向きの9階角部屋なんてずるすぎる。
キッチンも最高だけど、その隣にだって、

ほら、階段で上がっていく、
小上がりのようなベッドスペース。
ひとり隠れるように眠るのでしょうか。

休日は洞穴から出てこない男。
たたっと下りて、すぐそこの冷蔵庫から
水と少々の酒とスナックだけ取ってくる。

なにしろ、この近さですからね？
ついつい、おつまみ作っちゃう時もあるか。
王族の食卓と、洞穴の往復がたまらない。

それに、まだまだ14帖も確保してある。
ガラスブロックで隔てるのが色気ですね。
ちょっとずつ、セクシーにしてあるのだ。

なんだか、ちょいワル感あるぞ。
天井にプロペラついちゃってるぞ。
丸ごとシアタールームとかにしちゃう。

水回りにも、オヤジの黒が効いてるぞ。
ちょいユルな部屋着でうろうろするぞ。
なるほど、ここは彼らの隠れ家らしい…。

そう考えると、香水の匂いまで漂う。
っていうか、オヤジの香りがしてくる。
にくいですねえ。健康も気づかってね。