夕方、暗くなっていく時間帯が、
引っ越してから楽しみになった。

なんの縁もゆかりもない街を、
ぐるり眺めている。知らない景色が
いつの間にか、知っている景色に
なっていく。

前の部屋から移るとき、できれば、
外との接点が多い部屋がいいと
思ったのだけど、ルーバルとは。

自分でもよくわからない選択だ。
玄関を入ってすぐに布団を置くのも
前の自分じゃ考えられなかった。

さすがにドアを開けてすぐに布団、
というわけではないから安心。
靴箱がないから、出しっぱなし。

キッチンまわりは狭いから、ものが
溢れているけど、それも私の一部。

そろそろ片付けなくちゃ、と思い、
もう数週間は経っている。
今週末こそ。

とかなんとか言いながら、きっと、
窓からの光に耐えられなくなるまで
何度でも寝直してしまう。

寝ぼけながらシャワーを浴びる姿が
容易に想像できる。

ルーフバルコニーへの階段も、
もう慣れっこになった。

黄昏時を楽しむためとしか思えない
特等席のベンチは、備え付け。
ただぼんやりする時間の尊さを、
体いっぱいで味わっている。

ぼんやりする時間がある部屋って、
なんて贅沢なんだろう。