猫が眺める外を
私も眺める。

車の天井越しに見えるのは
電車の線路とその向こうの住宅

特別なんかじゃない景色だけど、
猫は何かをじっとみてる。

猫がみてる景色だから
私もまたじっと。

そんな暮らしがここにはある。

新築のこの部屋に内見に来て、
近い将来のそんな自分を想像して
少し笑った。

その想像の中で、
私はちゃんと猫を飼っていて、
母に言わせると
私は「まるで猫のよう」だそうで
そんな私が
このコンパクトなベッドルームにこもるとき

きっとずっとそばに猫は居る。
同じように丸まって眠る私たち。

ただ猫の名前は
もちろんまだない。
妄想だから。

この子に傷つけられたり
毛がついたりするのを防ぐために
洋服は全部WICに。

そして
床下収納にね！
あと靴はシュークロークに。

この棚の上で
おかえりって待っててくれる日は
決まっていつも空腹も訴えてくる日。

キッチンでご飯の準備をする時
決まって足に絡みついてくる
幼いその姿は、
昔、実家で飼ってたミケとは違い
はっきりとした黒色をしてた。

だって私は
魔女の宅急便ももちろん好きだから。

それから洗面台に乗って来ては
流す水を飲みたがるし

でも、貯めた水には興味がないらしいし。

洗濯機の蓋は間違いなく閉めておかないと

落ち込んでしまわないか心配だし。

そうだ、餌もそうだけど
トイレの処理とか色々私がやらないと。

せめて自分の使う便器は
この掃除しやすいデザインでありがたい。

お風呂にあの子は入らないだろうから
ここだけは私の聖域。

そう考えると本当に猫って面倒で面倒で
そして愛らしい。

よし、ここに決めて、
昨日SNSで友人の友人が飼い主募集してた
あの子を貰って来よう。